国立がん研究センター ガイドラインを更新
子宮頸がん検診 HPV検査単独法も推奨
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 国立がん研究センターは、科学的根拠に基づくがん検診を提言する「有効性評価に基づく子宮頸(けい)がん検診ガイドライン」を更新し、7月29日に公開した。2009年に作成したガイドラインを、その後の新たな研究結果に基づき検証した。

 従来、推奨している細胞診に加え、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査単独法も推奨(推奨グレードA)とした。ただし、HPV検査は、検診の間隔を拡大できる利点がある一方、検査で陽性となった人に対し長期間の経過観察が必要になるという課題があるとして、国として統一した診断上のルール(アルゴリズム)を構築することが、導入への必須条件であるとした。

海外や一部自治体での導入を受けて
 子宮頸がんは日本で1年間に約1万1000人が診断され、20歳代後半から増加して40歳代にピークを迎え、その後横ばいになる。HPV感染が関連しており、感染者のほとんどは一過性だが、ごく一部で感染が持続し、数年〜数十年かかって、前がん病変を経て子宮頸がんになることがある。軽度の前がん病変の80%はがんに進展せず、一部は自然に消えてなくなるとされる。

 今回のガイドライン更新の目的は、前回の作成時には不十分だったHPV検査に関する研究結果が続々と報告され、海外でも推奨する動きが見られることや、国内では一部の自治体検診でなし崩し的に導入されて混乱した状態にあることなどから、その課題を明らかにするためとしている。

細胞診単独法 20〜69歳が対象 2年間隔で
 子宮頸がんの検査で従来用いられているのは、子宮頸部を、先にブラシのついた専用の器具でこすって細胞を採取し、異常な細胞を顕微鏡で調べる細胞診だ。今回の更新では、検査対象年齢や間隔について、対象年齢は20〜69歳、間隔は2年を推奨すると明示した。上限を69歳したとしたのは、その年齢まで検診を受け続けた場合に、80歳程度までの死亡減少効果が持続するという証拠を認めたためとしている。

 細胞診ではまた、精度の低い自己採取法が特に職域検診で行われているという問題点が長年、指摘されてきた。このため今回の更新版で、検体は医師による採取のみとし、自己採取は認めないことを明示した。

HPV検査単独法 30〜60歳が対象 5年間隔で

 HPV検査は、子宮頸部からの分泌液を採取して、DNAを検出することで感染しているかどうかを調べる。血液検査ではなく、細胞診と同様の方法で採取が可能だ。今回の検討で、浸潤がんの罹患(りかん)率を減少させる効果の科学的根拠が認められ、新たに「推奨」に加えられた。

 HPV検査のメリットは、細胞診に比べて検診間隔を延ばすことができる点で、対象年齢は30〜60歳、間隔は5年が望ましいとされた。開始年齢を30歳としたのは、20歳代では浸潤がんの減少効果を示す研究がないことや、また感染率が高すぎて精密検査が必要になる確率が高いことなどが理由とされた。上限を60歳としたのは、有意な効果が得られているのは59歳までで、60歳以上の新規感染率は低いことなどから定めた。

細胞診とHPV検査の併用は条件付き推奨
 また、細胞診とHPV検査を併用する方法については、感度が高く見落としが減る利点がある反面、偽陽性がかなり増えてしまうという不利益が大きいことから、条件付き推奨(推奨グレードC)とした。細胞診単独法に比べ、HPV検査単独法では、偽陽性が1000人あたり42人増加。細胞診とHPV検査の併用では1000人あたり101人増加し、利益に比べ不利益が大きいというのがその理由だ。

 実施にあたっては、HPVのサブタイプの分類をするなど受診者の不利益を最小化する方法の確立と、対象年齢・検診間隔の順守、アルゴリズムに精通した婦人科医の確保を条件とし、条件がクリアされない限り推奨できないとした。

長期間のフォロー体制をいかに構築するか
 更新版の公開を前に、報道関係者向けに説明した国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部の中山富雄部長は、「HPV検査は前がん病変になるかもしれないとう人を見つけて、そこから診断に持っていくまでかなり長い年数がかかる。長期間フォローアップできるかどうかという点に、うまくいくかどうかがかかっている」などと説明。導入にあたっては、国として統一された判定結果ごとの診療アルゴリズムを構築することが、導入の前提となると強調した。

 中山部長はまた、HPV検査の自己採取の課題についても言及。先進国の事例では、長期に検診を受けたことがない人の提出率が高まるとの報告がある一方で、医療者採取に比べると15%ほど検出率が落ちる問題もあり、自己採取によって最終的にどの程度、受診率の向上につながるのかどうかについて検証が必要であるなどと指摘した。(田村良彦 読売新聞専門委員)

引用元:
子宮頸がん検診 HPV検査単独法も推奨 体制整備前提に(ヨミドクター)