思いがけない妊娠や出産に悩む女性の相談を受け付ける神戸市の「マナ助産院」が、妊婦を保護し出産後も一定期間滞在できる施設の建設を始めた。相手の男性や親に妊娠を打ち明けられなかったり、誰にも相談できなかったりする妊婦に、安心して身を寄せられる場所を提供する狙い。年内の完成を目指す。

永原郁子院長(62)は「成育歴や家庭環境の問題から周囲に頼れず、大きなおなかを抱えながらインターネットカフェや公園で過ごす人がいる。1人でも多くの命を救い、温かさを感じてもらえる場所にしたい」と話している。

マナ助産院は2018年、突然の妊娠に戸惑う10代の少女や、産んでも子を育てられない母親ら向けに相談事業「小さないのちのドア」を開始。面談や電話、無料通信アプリLINE(ライン)などで全国から4千件以上の相談を受けてきた。

新たな施設は2階建てで、神戸市北区にある同助産院隣の土地に建設。若い妊婦が気軽に立ち寄れる交流スペースを1階に設ける。2階には宿泊用の5部屋を用意。健診を受けていない出産間近の妊婦も受け入れる。

産気づいたら連携先の医療機関に連れて行き、退院まで付き添う。育てられない場合は、養子縁組の団体を紹介する。

既に借り上げ住宅で同様の事業を行っているが、離れた住宅では妊婦が孤独を感じやすいため、助産院の隣が望ましいと判断した。

建設費用を募るため4月に始めたクラウドファンディングは、当初難航したが、新型コロナウイルスの感染拡大が思わぬ追い風となった。休校などの影響で10代の妊娠相談が急増しているという報道を見た人から大口の寄付が相次ぎ、着工にこぎ着けた。〔共同〕

引用元:
行き場ない妊婦に居場所 神戸の助産院、施設着工(日本経済新聞