新型コロナウイルスに感染した20代の母親の母乳について、和歌山県が検査したところ、陽性の結果が出ていたことがわかりました。県は、近く、医師などによって問題がないと判断されるまでは、母親が陽性と判明した場合、念のため、母乳を子どもに与えることを控えるよう県内の病院などに通知することにしています。

和歌山県によりますと、ことし4月、新型コロナウイルスに感染した20代の女性が入院した後、娘の乳児に母乳を与えてもいいか調べるため母乳のPCR検査をしたところ、陽性の結果が出たということです。
女性は、乳腺炎を起こしていたということです。
さらに2日後に再度、母乳を採取して検査した際は、陰性だったということです。
乳児も女性の感染から6日後に感染が確認されましたが、県は、乳児が母乳から感染したかどうかは不明だとしています。
また、検査のため搾乳した際にウイルスが混入した可能性も排除できないとしています。
ただ、県は、今回の結果を踏まえ、陽性と判明した母親が乳腺炎を起こしている場合は、母乳にウイルスが含まれているおそれがあるとして、近く、医師などによって問題がないと判断されるまでは、念のため、母乳を子どもに与えることを控えるよう、県内の病院などに通知することにしています。

母乳をめぐっては、WHO=世界保健機関は6月に公表した文書で、PCR検査で母乳が陽性となった事例があると報告していますが、乳児が母乳から感染すると結論づけるのはデータが不十分だとしています。
そのうえで、母乳は乳児にとって健康や成長の面でメリットが大きいとして、母親が感染した場合でも、継続して母乳を与えるよう、勧めています。

日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は、「母乳がPCR検査で陽性になったとしても、感染力のあるウイルスが含まれているかどうかは判断できず、母乳を介して子どもが感染するかどうかも分かっていない。今回の事例は、母乳をとる際にウイルスが混入した可能性もあり、冷静に受け止めるべきだ。感染した母親からの授乳についてはこれまで通り続けても問題は無いと考えられるが、今後の研究や知見を注視していく必要がある」と話しています。

引用元:
感染女性の母乳 検査で陽性(nhk.or.jp)