これまでにもCOVID-19を発症した妊婦の症例報告はあったが、地域の妊婦全員を母集団に含めた統計データはほとんどなかった。英国Oxford大学のMarian Knight氏らは、同国内の産科ユニット194施設を受診した妊婦を対象に全国規模のコホート研究を行い、SARS-CoV-2に感染した妊婦の大半は重症化することなく、新生児への感染はまれだったと報告した。結果はBMJ誌電子版に2020年6月8日に掲載された。

 英国では、妊娠に伴うまれな合併症などを研究するために、産科病棟をもつ194施設が参加したサーベイランス用のデータベースUK Obstetric Surveillance System(UKOSS)を2005年に構築していた。そこで著者らは、UKOSSを用いてSARS-CoV-2に感染して入院した妊婦のデータを調べる住民ベースのコホート研究を実施した。

 組み入れ対象は、2020年3月1日から4月14日までにUKOSS参加施設を受診した妊婦で、血液または鼻咽頭スワブを対象とするPCR検査で陽性となった、または、胸部X線画像にCOVID-19の特徴が認められ呼吸困難があった、もしくは両方に該当したCOVID-19確定例とした。乳児は、血液または鼻咽頭スワブもしくは気管吸引液を対象とするPCRで陽性だった人を確定例とした。

 主要評価項目は、妊婦の入院の発生率と、産まれた児の感染に設定した。母親の死亡率、クリティカルケアユニットへの入院、流産や、帝王切開、早期産、死産、早期新生児死亡、新生児ユニットへの入院などの発生率についても検討した。

 対象となった期間中に、8万6293人いたと推定される妊婦のうち、630人が入院していた。このうち、PCR検査陰性例や、画像で肺炎の所見がなかった例、念のため入院したが翌日には退院できた例などを除き、427人の妊婦がCOVID-19確定例となって入院していた。妊婦1000人当たりの入院率は4.9人(95%信頼区間4.5-5.4人)になった。

引用元:
英国でCOVID-19を発症し入院した妊婦の特徴(日経メディカル)