熊本大発生医学研究所(熊本市中央区)の石黒啓一郎准教授(48)らの研究グループは27日、精子の形成に必要な新しい遺伝子を発見したと発表した。新たな遺伝子は精子が作られる際にDNAの損傷を修復する役割を果たしており、不妊の要因となる無精子症や、精子形成不全の原因解明につながる可能性があるという。
同研究グループは、生殖細胞から精子や卵子が作られる減数分裂を始める際に、“スイッチ”の働きをするタンパク質「マイオーシン」を発見し、2月に発表した。マイオーシンが約400種類の遺伝子と結合することで減数分裂が始まり、正常な精子や卵子が作られることが判明したが、遺伝子の機能は未解明のままだった。
石黒准教授によると、今回発見したのは、未解明の遺伝子の一つ「C19ORF57」。精巣内には父母から受け継いだ父方と母方の二つのDNAがあり、これを組み替える減数分裂が起きると、ひも状のDNAが一時的に切断される。しかし、その後修復され、精子が作られる。
研究グループがこの過程を解析した結果、「C19−」が、切断されたDNAの修復に必要な遺伝子「BRCA2」を呼び寄せる役割を果たしていることを突き止めた。「C19−」が機能しないようゲノム編集したマウスでは、DNAの切断箇所が修復されず精子が形成されなかった。
一方、卵巣では「C19−」の働きが見られず、卵子のDNA修復には別の仕組みがあると考えられるという。
石黒准教授は「BRCA2は盛んに研究されている有名な遺伝子。そんなスーパースターと『C19−』が結合するというのは驚きだった。今後も不妊に関係する遺伝子の働きを着実に解明することで、病態解明につなげたい」と話している。(平澤碧惟)
引用元:
石黒熊大准教授らの研究グループ、精子形成に関与の新遺伝子発見 不妊治療進展に期待 (47NEWS)