新型コロナウイルスの感染に不安を抱く妊婦は多い。健康管理を徹底して、安全に出産できる体制を整えたい。
今のところ、感染によって流産や早産などのリスクが高まる、との報告はない。ただ、妊娠中は投与できる薬やレントゲン検査に制限がある。
人混みや対面での接触を避けるなど、感染を予防することが大切だ。周囲の気配りやきめ細かな支援策が求められよう。
政府は、感染を恐れる妊婦が申し出た場合には、休業などを認めるよう、企業に義務づけることを決めた。男女雇用機会均等法に基づく指針を改正した。来年1月までの暫定措置としている。
妊婦は主治医や助産師からの指導に基づいて、職場に配慮を求める。相談の上、企業が休業や在宅勤務、業務の変更などを認めることになる。応じない場合には、国は指導や勧告を行える。
とりわけ医療や介護などに携わる妊婦からは、「感染は怖いが、仕事を休めない」との声が出ていた。妊婦の感染リスクを下げる対策を事業主に促すのは当然だ。
指針は元々、流産やつわりなどへの配慮を定めたものだ。過度のストレスは母体に好ましくないとの判断から、感染症への不安を対象に加えた。政府は、事業主に周知しなければならない。
懸念されるのは、感染拡大の影響で、里帰り出産をあきらめざるを得ない人が出ていることだ。都市部の妊婦が、地方の病院での出産予約をキャンセルされたというケースが目立っている。
日本産科婦人科学会は4月、感染拡大防止の観点から、里帰り出産を避けるよう呼びかけた。
確かに地方では、院内感染対策が整っていない病院もある。主治医が別の受け入れ先を紹介するなど、丁寧な対応が必要だ。
里帰り出産には、妊産婦が実家で援助を受けながら、安心して生活を送れるメリットもある。出産前のPCR検査を条件に、里帰りを受け入れるような仕組みも検討していくべきではないか。
出産後の目配りも欠かせない。助産師が母親の相談にのる産後ケア事業や、赤ちゃんの発育を調べる乳幼児健診など、自治体が担う行政サービスの休止が相次ぐ。
産後は、ホルモンバランスの変化などで精神的に不安定になりやすい。外出自粛が続く中、乳児を抱えて、孤立感を深める母親も多いだろう。自治体は、電話やオンライン相談を充実させ、妊産婦への支援を強化するべきだ。
引用元:
妊婦とコロナ 安全な出産へ細やかな配慮を (読売新聞)