赤ちゃんの発達を見極めたり、育児不安の保護者に寄り添ったりする重要な場である自治体の乳幼児健診。しかし、新型コロナウイルスの感染防止のためとして、中止や延期が続いています。危機感を持った専門家らが、家庭でできるチェック法を公開したり、オンライン上で相談を受けたりする活動が始まっています。
自治体健診の中止相次ぐ
乳幼児健診には、発達の遅れがないか、病気が隠れていないかなどを確かめる目的がある。母子保健法で1歳6カ月、3歳児の健診が義務づけられているほか、4カ月、9カ月ごろにも、発育確認や保護者の育児相談の場として健診を行う自治体が多い。しかし今回のコロナ禍で厚生労働省は2月末、自治体に集団健診の延期検討を要請。現在も、全国的に延期や中止が続いている。
小児科医で、自治体の乳幼児健診にも関わってきた埼玉県戸田市の平岩幹男さん(69)は、子どもの健康状態の確認ができないことを危惧し、4月中旬、自身のホームページ(http://rabbit.ciao.jp)別ウインドウで開きますで保護者向けのチェックリストを公開した。4カ月、1歳6カ月、3歳児のそれぞれの月齢別に、健診での指標となる体や言語の発達段階について、家庭での見極め方法を紹介している。
記事の後半では、平岩医師のチェックリストを載せています
ここから続き
たとえば4カ月健診では、「首のすわり」「体重増加」「股関節脱臼」の三つが大きなポイントになるという。健診では、首がすわっているかどうか、赤ちゃんの手を持って体が起き上がるかを確かめるが、大人が縦向きで赤ちゃんを抱っこし、首の後ろに添えていた手を離しても安定しているかどうかで確認できる。「体重増加」に関しては、「医療機関のように10グラム単位でなくても、家庭の体重計でもチェックは可能。目安は1週間の増加が200〜300グラム、最低でも100グラム以上はあるかをみてほしい」とする。
拡大する写真・図版
小児科医の平岩幹男さん
ただ、乳幼児の発育には個人差が大きく、健診で確認される項目に当てはまらないことがすぐ異常につながるわけではない。平岩さんは「まずは家庭でしっかり子どもの様子を確認することが重要。その上で不安なことがあれば、遠慮なくかかりつけ医に相談してほしい」と話す。
保護者の不安にスマホで助言
子どもの発育を確認するだけでなく、保護者の育児の悩みに応えることも、健診の重要な役割だった。外出自粛要請が続くなか、家の中で不安を抱えている保護者に寄り添う、オンラインでの発信が注目されている。
自治体で保健師として働くMakoさんは、健診が中止になって以降、保護者からの相談が相次ぎ、育児に対する不安を抱える人が増えていることを実感してきた。家庭への訪問事業なども控えている状況のなか、保護者の育児に関する悩みに寄り添う手段として、インスタグラム(@makosodate)でイラストを投稿。健診でチェックするポイントを紹介するほか、乳幼児の感染症予防のポイント、哺乳びんの扱い方など、普段から聞かれることの多い事例を取り上げている。Makoさんは、「保護者と関わりが持てず、保健師として心苦しい状況。自宅で過ごす人に、少しでも役立つ情報を届けたい」と話す。
自宅にいながら、スマートフォンを通じて専門職とやりとりができるサービスも始まっている。これまで助産師らによる産後ケア事業を行ってきた「BABYBOOTH」(https://babybooth.jp)別ウインドウで開きますは、4月初旬からLINEを使った無料相談を始めた。4月以降、訪問事業は中止しているが、これまでの経験から「保護者が抱える悩みを聞く」ことの重要性を感じていた。
拡大する写真・図版
BABYBOOTHの行うオンライン相談のイメージ。画面を通じ、直接話ができると好評だという=提供写真
LINEでの相談には、「体重が増えているか不安だ」「発達が遅れている気がする」などの声が寄せられる。一つ一つのメッセージに助産師が返答し、1人あたり10通ほどのやりとりを交わしている。顔を合わせて話をしたいという場合は、ビデオ会議システム「Zoom」を利用した相談にも対応している。
代表の井上麻衣さん(41)は「一人で過ごしていると、抱えている不安がどんどん大きくなりがち。まずは、今の気持ちや悩みを共有する方法を探してみてほしい」と話す。(中井なつみ)
平岩幹男さんが公開するチェックリスト
【4カ月児】
◇体重の増え方……1週間に最低でも100グラム以上
◇首のすわり……縦に抱っこしたとき、ぐらつきがなく安定しているか
◇股関節の開き方
【1歳6カ月児】
◇歩き方…… 独り歩きをするか。伝い歩きが難しいときなどはかかりつけ医に相談
◇発語……意味のある単語が数個出ているか、簡単な指示が理解できるか
◇対人関係……指さしやまねをするか
【3歳児】
◇コミュニケーション……2語文を使い、相手と会話ができるか
◇社会性……家族以外の人と言葉をかわしたり、遊んだりできる
◇運動……走る、階段を上るなどの動作ができるようになる。できていたことができなくなった場合など、かかりつけ医に相談
引用元:
赤ちゃんの発達、ここをチェック 健診中止にプロ助け舟(朝日新聞)