岡山県内の産婦人科専門医の3団体は、妊婦が新型コロナウイルスに感染した場合の対応を取りまとめた。感染症指定医療機関の4病棟と周産期母子医療センターの6病棟で受け入れ、症状の程度や分娩が近いかどうかなどにより入院先を決める。「感染者も安心して出産できる体制を整えた」としている。

 感染拡大地域で妊婦の感染が相次いでおり、岡山産科婦人科学会、県産婦人科医会、県医師会産婦人科部会が対策を話し合い、4月27日付で分娩を扱う県内34施設に通知した。

 感染した妊婦は一般の感染者と同様、指定医療機関の病棟に入院することになっていたが、通知により、国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)、川崎医科大付属病院(倉敷市松島)などの周産期センターでも受け入れる。各センターは低体重児や早産児に対応するスタッフがそろっており、新たにウイルスが漏れない空調設備や、人工呼吸器などを配備し、感染症治療の体制も整えた。

 実際に妊婦の感染が分かれば、県の調整本部で入院先を決める。産婦人科医らがリエゾン(連絡員)として本部メンバーに加わっており、各医療機関の受け入れ能力を踏まえて判断する。

 里帰り出産は基本的に勧めない。やむを得ない場合も妊娠32週までに早めに帰省し、その後2週間、発熱や肺炎の症状が出ないことを確認してから分娩施設に連絡するよう求めている。

 各分娩施設はスマートフォンやタブレットのアプリを使う連絡網を構築済み。緊急時に情報を共有し、妊婦の搬送先が見つからない“たらい回し”を防ぐ。岡山大病院産科婦人科の増山寿教授(岡山産科婦人科学会会長)は「万が一を考え、早めに準備した。安心して妊娠期間を過ごし、出産を迎えてほしい」と話している。

引用元:
感染妊婦の受け入れ拡充 岡山県内 周産期センター6病棟で体制整備(山陽新聞)