日本産科婦人科学会は全国に緊急事態宣言が出されたことから、妊婦の人たちに今住んでいる地域での分娩を検討するよう呼びかけています。
新潟出身の妊婦が県外から新潟へはもちろん、今、新潟に住んでいる県外出身の妊婦も地元に帰らないでほしいということです。
なぜ里帰り出産自粛を呼びかけるのか、そこには医療崩壊の危機が潜んでいました。

【新潟大学大学院医歯学総合研究科産科婦人科学 榎本隆之教授】
「一番の理由は、万が一ウイルスに感染している人が新潟に入って他の人に感染させることを恐れている。県内で他の妊婦さんに感染するリスクがある」

里帰り出産がもたらす危険性について語るのは、新潟大学病院の産婦人科医 榎本隆之教授です。
万が一、里帰りした妊婦が新型コロナウイルスに感染していた場合、その影響は他の妊婦だけではなく医療機関にも及びます。

【新潟大学大学院 榎本隆之教授】
「新潟県内の産婦人科医の数は、日本で一番少ないと言われている。医者の気持ちとしては、その人の分娩を助けてあげたいと思うが、医療関係者にも感染するとその病院の分娩自体が全く止まってしまう」

一旦、感染が広まれば、その分娩施設の一時閉鎖などを余儀なくされ、出産を控えている他の妊婦に大きな影響が出ます。
また榎本教授は、感染リスクを減らそうと里帰りを自家用車で行うと長時間となるため、母体への負担が大きいことを心配しています。

それでも様々な事情で里帰りをしなければならない場合、まずは分娩先の病院に相談し、帰省したら2週間の自宅待機を呼びかけています。

【新潟大学大学院 榎本隆之教授】
「その施設が分娩できると言ってくれたらできるだけ早めに帰省して、コロナウイルス感染症に特異的な症状が出ていないか2週間は自宅で安静にして確認した上で病院に来てもらうこと大事」

妊婦本人だけではなく、その家族にもこうした影響があることを知ってほしいと榎本教授は話しています。
すでに里帰り出産を予約している人は、まずは今通っている医療機関に相談してほしいとしています。
そうすれば、今住んでいる地域の中で分娩できる施設が紹介されるとのことです。
厚生労働省も里帰り出産は自粛が望ましいとしていて、各自治体に対し里帰り出産をやめた妊婦に寄り添った支援をするよう求めています。

引用元:
里帰り出産の自粛を 新潟県の医療関係者が注意呼びかけ(BSN NEWS)