食物繊維摂取量の多い女性で乳がんリスクが低下

果物、豆類、穀類、野菜――どの食品からのものであれ、食物繊維の摂取は女性の乳がんリスクをわずかに低下させることが、これまでに報告されている研究のレビューで示された。

米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のMaryam Farvid氏らが実施したこのレビューの詳細は「Cancer」4月6日オンライン版に発表された。

Farvid氏らは今回、2019年7月までに発表された、食物繊維の摂取と乳がんリスクの関連について検討した前向き研究のシステマティックレビューを行い、20件の研究データを統合して解析するメタ解析を実施した。

食事とがんの関係について調べる研究では、過去に摂取した食品に関する研究参加者の記憶に基づく後ろ向き研究よりも、前向き研究の方が信頼性は高いと考えられている。

そのため、今回の解析には前向き研究のみが組み入れられた。解析対象となった研究の参加者の総計は数百万人に及んだ。

解析の結果、食物繊維の摂取量が多い女性の乳がんリスクは、摂取量が少ない女性よりも8%低かった。

摂取した食物繊維を種類別に見ると、水溶性食物繊維は乳がんリスクと有意な逆相関関係を示したのに対し、不溶性食物繊維との逆相関関係は示唆的なものにとどまった。さらに、食物繊維摂取のベネフィットは、全ての年齢層の女性で得られることも示された。

この点についてFarvid氏らは「食物繊維の摂取量が多い女性での乳がんリスクの有意な低下は、閉経前の乳がんと閉経後の乳がんのいずれについても認められた」と説明している。

この報告を受けて、米レノックス・ヒル病院の乳腺外科医であるLauren Cassell氏は「食物繊維の摂取は、血中のインスリンや成長因子、エストロゲンの減少を促すと考えられている。これらはいずれも乳がんの発症に関与していることが知られている」と話し、こうした作用が乳がんリスクの低下に寄与しているのではないかとの見解を示している。

Farvid氏らによると、典型的な米国人女性は、食物繊維のほぼ半量(45%)を全粒穀物やシリアルから、約23%を野菜から、残りを果物やナッツ、豆類、種子類から摂取している。しかし、同氏らは「食物繊維の摂取源となっている全ての種類の食品で、同程度のリスク低下が示された」と話し、食品の種類は重要ではないとしている。

また、さまざまなサブタイプの乳がんで、食物繊維の摂取量を増やすことは有益であることも示唆されたとし、「これらの結果は、果物や野菜、全粒穀物といった食物繊維を豊富に含む食品の積極的な摂取を推奨する米国がん協会(ACS)の食事ガイドラインを裏付けるものだ」と強調している。

一方、Cassell氏も「あらゆる種類の食物繊維、とりわけ果物に含まれる食物繊維の摂取量を増やすのは容易であり、推奨される。ほんのわずかとはいえ乳がんのリスクが低下する上に、消化や食生活の面でもさまざまなメリットがあるからだ」と話している。(HealthDay News 2020年4月10日)

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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.32816

構成/DIME編集部


引用元:
食物繊維の摂取で女性の乳がんリスクが低下する可能性、米ハーバード大学研究報告(DIME)