働く女性の約4人に1人が不妊治療と仕事の両立ができずに退職する結果、国内では年間1345億円を超える経済損失が生じているとの試算を不妊に悩む人を支援するNPO法人「Fine」がまとめた。
 試算は、年間の不妊治療件数を44万8210件(日本産科婦人科学会集計の2017年実績)とし、1人が最大3回程度の治療を受けると推定して患者数を14万9403人と設定した。
 その上で、不妊治療と両立できずに仕事をやめた女性の割合を23%とした厚生労働省の調査結果などを基に、1年間の不妊退職数を2万3951人と算出。さらに女性の平均賃金や労働分配率を加味し、企業活動の付加価値の減少(経済損失)を1345億3363万円と算定した。

ただし、この損失額には退職者にそれまでかかった育成費用や、別の人材を雇用するための費用は含まれていない。退職者全員にこれらの費用がかかると仮定すると、損失額は2083億円余りに膨らむという。
 近年の晩婚化、晩産化で不妊に悩むカップルは3組に1組と増加。一方で体外受精などの生殖補助医療は高額で保険適用外のため、当事者の経済的負担は重い。治療しても出産率は12%程度と低く、頻繁で長期の通院を強いられる。治療を優先すれば仕事にしわ寄せが及び、退職すれば治療費の捻出が難しいという板挟み状態だという。
 Fineの松本亜樹子理事長は「女性がキャリアを断絶せずに不妊治療、妊娠、出産ができるような社会的改革が急務。治療の助成金制度見直しや一部保険適用、フレキシブルな就業・雇用制度の実現などを国に求めていきたい」と話している。

引用元:
不妊退職の損失1345億 患者支援団体が試算 (47NEWS)