「ダイエット中でも大丈夫!」「これなら罪悪感ゼロ」、そんなキャッチフレーズのお菓子が市場をにぎわしている。糖質オフやグルテンフリー、オーガニック素材に、国産小麦や国産大豆使用なんて書いてあると、「これなら体に悪くないから大丈夫」とついつい手を伸ばしてしまいがち。以前は、オーガニックフードを取り扱うお店でしか購入できなかったが、最近では、大手メーカーやコンビニオリジナルでもヘルシーおやつが続々と登場している。でも、それって本当にヘルシーなの?

体にいいお菓子ってあるの?「ヘルシーおやつ」の選び方

ヘルシーの仮面をかぶったお菓子が増えている?
「私が日本に初めて来た頃に比べると、今は驚くほどオーガニック素材でできたお菓子やスナックが増えてきました。オーガニック専門店に行かなくても簡単に購入できます。でもその反面、名ばかりのオーガニックも少なくありません」と指摘するのは、栄養コンサルタントのエリカ・アンギャルさん。

エリカさんいわく、日本はパッケージ表示の規定が曖昧で、ヘルシーに見せかけたジャンクフードが非常に多いのだそう。「オーガニックの正しい概念は、農薬や化学肥料などが含まれていないことです。生鮮食品もそうですが、加工品であっても正しい形で作られているものには、“有機JAS”表記がされています。ですが、日本では、オーガニックの表示が曖昧で、オーガニックの概念を満たしていなくてもORGANICというネーミングやナチュラル、天然100%といった健康によさそうなネーミングをつけているものを多くみかけます」

体にいいお菓子ってあるの?「ヘルシーおやつ」の選び方
photo:Getty Images
脂質と糖質の原料に着目すべき
さらに、有機素材=体にいい、健康的な食品とは言い切れない面もあります。特に加工食品であるおやつの場合、甘みや見た目のよさ、触感などを考えて、さまざまなものが加えられています」。なかでもエリカさんが懸念するのは、脂質と糖質だという。「お菓子は、風味とおいしさを出すために、甘さと油が欠かせません。国産の有機小麦を使っているのに、甘さと脂質に手を抜いているところも少なくありません。

例えば、本来であればバターを使ってほしいのに、ショートニングなどのトランス脂肪酸を使っているケースもまだまだありますね。欧米ではトランス脂肪酸への規制が始まっていますが、日本は欧米に比べて摂取量の平均が低いということから、規制はありません。ですがトランス脂肪酸は、クッキーやビスケット、ドーナッツやケーキなど、小麦を使った市販のお菓子の多くに使用されているのです。大量摂取は、体重増加、心臓疾患、不妊症(女性・男性共に)、子宮内膜症などの婦人科系の病気、アルツハイマー病などさまざまな疾患の因子になると言われています」。

また、糖質はもっと厄介だとエリカさんは指摘する。「日本人女性は、お菓子は好きですが太りたくないので、低カロリーやカロリーゼロにこだわります。ですが、甘くないお菓子はおいしくないので、代用として人工甘味料が使用されます。アスパルテームやサッカリン、スクラロースなど、甘みを出す人工甘味料は多いですが、これらこそ罠。人工甘味料は腸内環境を悪化させ、カロリーゼロを選んだつもりが、かえって太りやすい体を作るといわれています。

人工甘味料の摂取を続けると、血中からグルコース(ブドウ糖)を吸収しにくくなり、高血糖値が続きます。糖尿病や肝臓病、心臓病発症リスクの上昇を引き起こすことも」。見た目のナチュラルさに惑わされないことがまずは大事。「原料表示によくわからないカタカナや○○剤、といったものが多いものは、ナチュラルとうたっていても避けるのが無難。逆にコンビニのお菓子でも原料表示が明快でシンプルなものは、選んでもよいものと考えるとわかりやすいですね」(エリカさん)。

「和菓子はヘルシー」とは単純には言い切れない!?
以前からいわれている「ダイエット中食べるなら、ケーキよりも和菓子」という定説。ケーキはスポンジにバターやショートニング、生クリームやチョコレートなど脂質を多く含む食材を多く使い、糖質も多く、和菓子に比べてハイカロリーになるから、というのが主な理由だ。「この定説から、和菓子=ヘルシーなお菓子と思っている方も多いようです。でも、残念ながらすべての和菓子がヘルシーとは言い切れない部分もあります」というのは、おいしいのはもちろん、血糖値を上げにくくするいう新しい視点で和菓子を提案している「和のかし 巡(めぐり)」の黒岩典子さん。

製菓学校で和菓子を学び始めて、まず最初に驚いたのが、和菓子にはいかに大量の砂糖が使われているかということだそう。「和菓子は洋菓子に比べて甘みが控えめ、とは言い切れません」。和三盆や黒糖などを使用しているこだわりのメーカーもあるものの、多くは、グラニュー糖などの白糖が使われているという。「和菓子で砂糖をたくさん使うのには理由があります。風味をよくする意味もありますが、触感の柔らかさや日もちをよくする役割があるのです。でも、砂糖を多く使ってもあんこやもち部分をすべて手作りしているお店は意外と少ないという現状も。加工されている小豆餡やもち米を使っているものも市場には多く出回っていますね」

体にいいお菓子ってあるの?「ヘルシーおやつ」の選び方
「和のかし 巡」のシグニチャー“福巡り”。雑穀入りの生地に、有機アガベシロップを使ったあんを使用。
大量生産でない職人の心を感じる和菓子を探してほしい
「和菓子というと手作りで、素材もシンプルで、国産大豆と書いてあれば安全、と思いがちですが、実は添加物を多く含んでいるものもあります。特に、日もちがするお饅頭やわらびもちなどは、パッケージに裏の表示を見ると、トレハロース、モチソフト(酵素の一種)、加工デンプンなども表示があるものもあります」と黒岩さん。

まずマクロビオティックを学び、その知識を生かしながら、素材にこだわった和菓子を作り続けている。卵、乳製品、小麦粉、添加物を使わず、有機や無農薬素材を選び、できる限り玄米を使用。砂糖の代わりに、テキーラの原料になるアガベから抽出した天然のアガベシロップで甘みをつけている。アガベシロップは砂糖よりも甘いのにカロリーは20%も低く、血糖値の上昇も抑えられるのだそう。やはり素材や抑えた甘みにこだわると日持ちは短くなる。

ロスも増えるので経営的にも厳しい部分もあるという。「市場に出ている和菓子が悪いというわけではありません。ただ、そうした和菓子の現状を知らずに、ヘルシーなお菓子、これならいくらでも食べて大丈夫と思ってしまうのには疑問があります。私自身も和菓子好きなので、食べるときにはスーパーで売っているものではなく、この店の和菓子が食べたい、というプロセスを大事にしています。大量生産されたものよりも職人が精魂込めて作った和菓子には、甘さだけでないおいしさが広がります」

まず考えるべきは、お菓子をやめられない自分のこと
「“ヘルシーおやつ”の検証ですが、そもそも、おやつは大量でなければ食べても問題はありません。仕事で疲れ、ホッと脳や心を休めたいときおやつタイムにチョコレートを1~2粒食べる、クッキーを1枚食べる、この程度であれば罪悪感を感じる必要はありません。さらに、この程度の摂取であれば、ヘルシーおやつにこだわる必要はなく、好きなお菓子を食べても問題はないのです。

どうも“ヘルシーおやつ”の背景には、ヘルシーであればたくさん食べてもいい、たくさん食べたいからヘルシーなおやつを選ぶ、といった深層心理が隠れているような気がします。この部分を無視して、ヘルシーなおやつについて語っても、木を見て森を見てないことに。まずは、なぜ自分がヘルシーなおやつを求めているのか。そこに、どうせ食べるなら、たくさん食べたいからという理由があるなら、なぜおやつをそんなに食べたいのか。素材がヘルシーであることはもちろん大事ですが、それよりも食べたい理由を探ることが必要ですね」というのは、数多くのダイエット指導をしているパーソナル管理栄養士の三城円さん。

三城さんのところに来る人の多くが、“ダイエットをがんばるほどに、お菓子への欲求が止まらない”という相談をするという。「がんばってダイエットしている人の多くは、ヘルシーイメージが強い野菜中心の食事に変えて、糖質やたんぱく質を極端に抜いています。そうすると体は不足した栄養を補おうと手っ取り早くお腹が満たされる簡単な食べ物を欲し始めます。

特にお菓子は、ダイエット中食べてはいけないと抑制しているため、満たされない気持ちがより高まり、さらに欲求が高まるという悪循環が起きてしまうのです。お菓子を制限なく食べてしまう、もっと食べたいという欲求が止められないという場合は、朝昼晩の栄養バランスが崩れている、無理なダイエットを行っていると考え、日常の食生活を見直すことが必要です」。いくら良い素材のヘルシーなお菓子でも食事の代用にはならないと三城さんは言う。

引用元:
体にいいお菓子ってあるの?「ヘルシーおやつ」の選び方(Yahoo!JAPANニュース)