1人目出産のてんやわんやをお伝えして、早速ですが
忘れないうちに2人目バージョンをお伝えします。
今度は私に決めさせて
2人目出産のときは1人目と違っていてずいぶん勝手が違っていた。
1人目と同じ病院での出産とあり慣れたもので、すべてが自分の支配下にあった。いや、言い過ぎか。
始まったのは1人目と同じ夜中、就寝時。覚えのある違和感に起こされ、また破水か、と思ったら出血だった。おしるしの割には多い。病院に一応電話して確認するも、陣痛待ちでいいよと今回も言われ、それもそうですよねとやはり二度寝。その1時間後には陣痛が始まり、間隔が10分を切ったので再度病院に電話をして「今から行きます」と言い切った。
病院側は「そんなに早く来なくてもいいから家でゆっくりしてなよ」とのんびり構えていたけれど、すでに早朝に差し掛かる時間で、ラッシュアワーに巻き込まれたくなかったし、病院に行く途中で上の子を預ける必要もあったので早めに家を出ることにした。
1人目が予定日より1週間以上早く生まれてきたのに対し、2人目は1週間以上遅れていた。この日までに産まれなかったら産院に電話して予定分娩のための予約入れて、と言われていたその日の未明に2人目は生まれてくる事にしたらしい。
散々まわりに「まだ産まれないの?」と聞かれてストレスを感じたり、予定分娩の方法を調べてビビったりしていた私としては、来た来た来た、と陣痛の痛みに内心ガッツポーズだった。夫の運転で病院に向かう車の中でも陣痛の合間に雑談したりメールを打ったりと余裕たっぷりだ。
昔はサウナ、いまは階段昇降
病院にはスムーズに到着した。助産師に診察してもらうと「うーん、まだ子宮口が開き切ってないし陣痛も弱いから、いったん帰ることをおすすめするけどどうする?」とまさかの帰宅推奨。
でも、と私は食い下がる。
「ぜったい進行早いから帰りません」。
自分の体のことは自分が一番わかっている、というのはどの場面でも当てはまるわけじゃないけれど、ここにおいてはあと1時間ほどで陣痛が本格的になるという確信があった。自宅までは車で20分、帰って、陣痛が進んでからまた病院に戻って、なんてやっていたら手遅れになる可能性がある。じゃあ代わりに、と助産師に勧められた散歩と、階段の上り下りを夫とする事にした。
季節は夏だというのに肌寒い。病院の外に出ると普通なら気が滅入りそうなどんより曇り空で冷たい風が吹いていた。1人目のときも似たような天気だったなぁ、曇り万歳、と私は逆にうきうきして病院ばかリ密集しているエリアの、新しい病棟を見学したり、夫が買ってきたサンドイッチを頬張ったりした。もちろん陣痛の合間合間にだ。
しばらくすると産院に戻り、夫と連れ立って階段の昇降運動。1階から6階までを2セットぐらいしただろうか。他のカップルも同じように陣痛に呻きながらやっていたからこれがフィンランドでは普通なんだろう。
ちなみに伝統ではサウナの周りを村の女衆で集まって陣痛促進(もしくは回避)ダンスをしていたらしい。産み落とすのもサウナ、昔はそこが一番衛生上良い場所だったから。
タダだけどタダじゃない
さて、サウナでは産まない現代っ子の私は、階段昇降の後もう一度同じ助産師に診察してもらい、無事に分娩室へご案内されたので、産む前に湯に浸からせたまえ、と早速バスタイムを所望した。浴室は個室である分娩室の横についている。
家では考えられない広々としたジャグジーに「好きなだけ入ってね」とお湯を張ってもらって、うむ、その通りに、とする。付き添いの夫は分娩室のソファでゆったりと新聞を読む。
無痛分娩もバスタブも笑気ガスも、これらの出産オプション全部タダである。かかるのは入院費のみ。こういうフィンランドのいいとこを話すと、「だって税金高いんでしょ」と鼻の穴膨らまして得意げに言うことを生き甲斐にしている人が必ず出てくるけれど、別に高税で生活が圧迫されているわけじゃない。少なくとも我が家は。一方で「海外に住んでいい思いして」と言う人もいるけれど、いい思いというのがまず意味わからんし、それなりの税金を納めてるんだから私は恥ずかしげもなく当然の権利として受けられるものは要求する。海外でも日本でも。
ちなみに出産自体はタダでもその他隠れた出費がぼろぼろ出てくるのもフィンランドで、その話はまた今度。
「私、もうすぐシフト終わりなんで産んじゃって」
お風呂でリラックスして和らいだ陣痛も、20分後にお風呂をあがる頃はかなり強くなっていた。一人目のときは効果を得られなかった笑気ガスをダメ元でやってみると、意外にも効いてふわりとした気分になった。それでも痛みを凌げなくなったタイミングで無痛分娩をお願いした。すべて自分で「今がこのとき」と決めさせてもらった。
無痛分娩の麻酔を打ったら打ったで半身だけ効かなくて、それを訴えると助産師が「そう、どうしたい?」と聞いてきた。
私と同年代の彼女は友達のように気軽に接してくれ、終始においてそんな感じだった。陣痛が進行する前、分娩室に入る前、笑気ガスを吸う前、麻酔を打つ前。すべて私に意見を求め、舵をとらせた。プロである医師や助産師が決めるのではなく、等の本人が自ら考える。日本だったらなかなかないそのやり方が、逆に私に自信を与えた。
結果、麻酔は追加してもらい、すうっと冷たい感覚が全身に走って痛みが引いていったと思ったら束の間、別の種類の痛みがやってきてなんだかでっかい塊を出したくなりすぐに分娩となった。
今回は第一子の時とは違って最初から最後まで一人の助産師としか会わなかった。シフト交代も医者の診察も見学者もなし。分娩室にいるのは私と夫、助産師だけで、麻酔医が麻酔を打ちに数分訪れたのみ。とてもアットホームな雰囲気でのお産となった。
分娩中、助産師は子供の頭がいよいよ見えると「髪は黒よ!」と、え、コメントそこ?と笑いたくなるような情報をくれたり、まさに押し出している最中「私あと15分でシフト終わるの、だから産んじゃってね」と冗談飛ばしたりもした。
そしてついに子供が生まれると、体重測定や簡単なチェックののち、本当にシフトが終わって「じゃあね、改めておめでとう!」と満面の笑みで帰っていった。こちらのこころ持ちも、お産というデトックスを終えたのもあり、たいそう晴れやかなものだった。
満点出産
翌日の入院病棟で、それから数週間後にネウボラで、それぞれ「今回の出産は10点満点で何点だったか」と聞かれた。1人目の時も同じ質問をされたからきっと決まったやりとりなのだろう。
私は2人目の時には10点満点をつけた。無痛分娩や入浴など自由に選べるオプションもフィンランドでの出産の特徴だけれど、自分で何が起きているか把握し決断できるお産が、私にとっては一番の恩恵だったように思う。
引用元:
フィンランドで産んでみた!(昔はサウナで産んでいたってさ篇)(gentosha)