日本産婦人科医会(会長:木下勝之・東大医学博士)は2月12日の記者懇談会で、2019年6〜8月に全国の分娩施設を対象に実施した産婦人科医の勤務に関するアンケートの集計結果を発表した。1人当たりの常勤先以外での副業回数は日勤が月3.3回、当直が月3.5回に上っており、副業を含めた時間外労働は平均で年間2034時間に及ぶとの推計が示された。分析に当たった同医会常務理事で日本医科大学教授の中井章人氏は、「副業を含めて時間外労働の上限規制を当てはめれば産婦人科は破綻する」と警鐘を鳴らした。

 アンケートは、有床診療所を除いて分娩を取り扱う全国の病院1020施設を対象とし、719施設の産婦人科責任者から回答を得た。

 集計結果によると、産婦人科医の平均当直回数は月5.4回と、調査対象施設の救急(4.1回)や小児科(3.9回) よりも多かった。36.6%の施設が当直明けの医師の勤務を緩和する体制を設けているが、そのうち全ての当直医に対して勤務緩和を実施しているのは12.2%にとどまり、多くの当直明けの医師が普段通りの勤務に当たっている実態も浮き彫りとなった。当直を除く平均労働時間は週47.3時間だった。

 これを基に中井氏が時間外労働の時間を推計したところ、1人当たり平均で年間1148時間に及んだ。

 今回のアンケートでは初めて、副業についても尋ねた。常勤先以外での当直回数は平均月3.5回で、常勤先での当直回数と単純に足し合わせると、月約9回の当直勤務に当たっていることになる。この副業時間を含めて時間外労働を推計すると年間平均2034時間になり、B、C水準の指定を受けた医療機関の上限の特例(年1860時間)を超過することが分かった。

 木下会長は「制度のせいで医療崩壊が起こってしまう。医療機関に、一般企業の働き方改革を持ち込むこと自体がナンセンスだ」と訴えた。

 副業を除いた産婦人科医の時間外労働は、日本産婦人科医会が調査を始めた2008年の1488時間から2019年の1148時間と徐々に短くなる傾向にはある。同会による別の調査によると、分娩を取り扱う病院の産婦人科の常勤医は2008年の5046人から2019年は6301人に増えており、医師数の増加が時間外労働の減少につながっているとみられる。

 中井氏はそれらのデータを基に「医師数と時間外労働の長さには強い相関関係がある」とし、医師数があと約700人増えれば1人当たりの平均の時間外労働がA水準の960時間以内に抑えられると主張した。

引用元:
産婦人科医、時間外労働は平均2000時間超(m3.com)