那須郡市医師会(栃木県大田原市)は子宮頸(けい)がんを予防する「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」について、定期接種の対象者に必要な情報を伝えようと、県内で初めて医師会独自のポスターとリーフレットを作成した。

 昨年の厚生労働省の調査では、定期接種の対象である小学6年から高校1年(12〜16歳)の女子の約4割が「意義や効果を知らない」と回答。健康被害報告が相次いだことから国が平成25年6月に接種の積極的勧奨を中止してから、認知度への影響が拡大している実態が浮き彫りとなっている。

 一方、同医師会によると、毎年約1万人が新たにHPVに罹患(りかん)し約3千人が死亡している実態を踏まえ、個別通知の差し控えを問題視して、事態打開に向けて独自に動く自治体も全国で増えているという。

 県内では昨年末時点、全市町で個別通知を差し控えている。しかし、同医師会では副反応には個人差があり多くの場合で予防効果が勝ることなどから、接種の効果などを知らずに無料接種の機会を逃すことがないよう独自にポスターとリーフレットを作成した。

 ポスターはA3判で250枚、リーフレットはA4判の三つ折りサイズで2500部を作成。68の会員医療機関と行政機関に配布した。

 ポスターには定期接種の対象年齢や回数などを表記。リーフレットでは子宮頸がんの原因や予防、副反応、ワクチンの安全性などについて解説した。ワクチンを接種できる会員医療機関(大田原市、那須塩原市で28医療機関)についても紹介している。

 同医師会の小沼一郎会長は「予防手段を講じるかは本人や家族で決めることだが、無料で予防接種を受けられる機会を逃すことがないよう、今後も必要な情報を得られる環境づくりに取り組みたい」と話した。(伊沢利幸)

引用元:
子宮頸がんワクチン予防接種のポスターとリーフレット作成 栃木県那須郡市医師会(iza)