新型コロナウイルスによる肺炎感染が中国から世界各地に拡大していますが、毎年、冬季はインフルエンザが流行しやすくなる季節ですね。
インフルエンザウイルスの流行は、気温や湿度と関連性があると考えられています。ウイルスは細菌とは違い、人や動物の体など生体の外で増えることはできませんが、生体の外で生存する時間が長いほど感染しやすくなります。
また、空気がある程度湿っている時よりも、乾燥している時の方が、インフルエンザウイルスの生存する時間が長くなると言われています。冬の乾燥した空気はインフルエンザウイルスが浮遊しやすく、生存しやすいため感染が拡大し、例年1〜2月にかけて流行がピークとなります。
速い進行…なるべく24時間以内に受診する
保育園、幼稚園、小学校などでは、インフルエンザを発症すると、法律に基づいて5〜7日間と長い期間、子どもを休ませる必要があります。クリスマスや年末年始を経て、遠足や卒園式、卒業式など大切なイベントが続くため、ママさんたちともよくインフルエンザの話をすることがあります。
手洗い、うがい、マスクなどで予防を心がけていらっしゃる方がほとんどですが、集団生活の中で感染してしまうこともありますよね。家庭内で子どもから親に感染するケースも多くあります。
インフルエンザの症状は進行が速いという特徴があります。感染してから症状が表れるまでの時間を潜伏期間といいます。インフルエンザの潜伏期間は1日から2日と、とても短いです。
そのため、子どもは登校、登園する前に毎朝体温を測ると体調の変化に気づきやすいでしょう。症状は38度から40度の急激な高熱、頭痛、そして関節や筋肉の痛みなどです。
このように急な全身症状だけでなく、 咳せき やのどの痛み、吐き気や腹痛の症状がでることもあります。これらの症状がない潜伏期間中から感染力があるので、くしゃみや咳で 飛沫ひまつ 感染したり、ウイルスが付いたものを触るなど接触したりすることで感染する恐れがあります。
また、インフルエンザの検査キットは発症から12時間経過するとウイルスを検知しやすくなりますが、具合の悪い時は12時間経過するのを待つよりも、早めに受診した方がよいでしょう。インフルエンザウイルスの増殖は発症から48時間がピークになると言われています。
インフルエンザの薬はウイルスの増殖を抑えるものなので、ピークを迎えた発症後48時間以降では薬の効果が期待できません。このことから、発症からなるべく24時間以内には受診して、早いうちにウイルスの増殖を抑えるとよいでしょう。
インフルエンザ肺炎…激しい咳が長時間続くと、妊婦のお腹に負担
インフルエンザは健康であれば1~2週間で回復することが多く、ほとんどの場合は自然治癒が可能です。ただし、妊娠中の女性や子ども、高齢者は、健康な成人に比べて重症化しやすいため、症状の変化には注意が必要です。
インフルエンザが重症化するときは、インフルエンザ肺炎やインフルエンザ脳症・脳炎などになっていることがあります。
妊娠中、インフルエンザが重症化しやすいのには理由があります。胎児は母体にとっては異物であるため、胎児を許容するために母体の免疫が低下しているのです。
さらに、妊娠初期は、つわりで栄養不足になりやすいことや、中期、後期では子宮が大きくなることによって肺活量や心肺機能が低下することが示唆されています。
そのため、妊娠中は感染症にかかりやすく、インフルエンザ肺炎を発症すると、特に重症化しやすくなると言われています。
インフルエンザ肺炎になると、高熱や咳、酸素が取り込みにくくなることによる呼吸困難、顔色不良などの症状がでてきます。激しい咳が長時間続くとお 腹なか に負担がかかってしまう可能性があり、妊娠中はお腹が張る症状がでるかもしれません。インフルエンザの発症から数日経過しても熱が下がらない、激しい咳が続くという場合は、肺炎になって自然治癒しない恐れがあるので、再度受診した方がよいでしょう。
インフルエンザ脳症・脳炎になるのは稀なケースだが…
インフルエンザ脳症・脳炎になるのは 稀まれ なケースですが、子どもは合併しやすいと言われています。インフルエンザ脳症・脳炎の多くは、10歳未満の子どもで発症しています。
発熱してから数時間〜2日目に症状が出ることが多く、けいれんが持続したり反復したり、意識障害や異常行動などがみられることがあります。
けいれんは熱性で特別な治療を必要としないものもありますが、インフルエンザ脳症からのけいれんなら、後遺症が残ることや、命に関わることもあります。迷わず救急車を呼びましょう。
もし、インフルエンザで発熱後に、眠りがちで呼びかけにも答えられない、意味が分からない行動や言葉があるなど、子どもの様子がいつもと違うけれども判断に迷うことがあれば、主治医の先生に相談して、必要なら迅速に受診しましょう。
また、インフルエンザ脳症・脳炎はNSAIDsという解熱剤を使用したときに発症しやすくなることがわかってきています。高熱は心配ですが、自己判断で市販の解熱薬を使わないようにしましょう。
高齢者は加齢により免疫機能が低下していることが多く、インフルエンザの感染に引き続いて、新たなウィルスや細菌に感染して肺炎になるなど、二次感染により重症化しやすくなります。
そして、ぜんそく、慢性肺疾患、循環器や、免疫が低下している可能性のある腎障害、糖尿病などの基礎疾患のある方も、インフルエンザ発症によって悪化してしまう恐れがあるため、気を付けた方がよいでしょう。
さて、インフルエンザワクチンの予防接種をうけたけれど、インフルエンザに感染してしまったという話を聞くことがよくあります。インフルエンザワクチンを接種してから抗体が十分に付くまでには、2週間ほどの期間が必要です。
また、子どもは成人に比べると抗体が付きにくいと言われているため、1回目の接種から約4週間の間隔をあけて、2回目の接種がすすめられています。ワクチンの効果が期待できるようになってからも、感染を完全に防ぐことは難しいですが、重症化を防ぐことにつながると言われています。
インフルエンザウイルスはアルコールで死滅するため、外出中など手洗いしにくい時も、子どもがおやつを食べる前などは、アルコールで手指を消毒するのもいいでしょう。
また、冬の快適な室温である20度前後では、相対湿度が20パーセントほどの時より、50パーセントほどの方が、インフルエンザウイルスは死滅しやすくなります。家庭内での対策は、加湿器を利用するとよさそうです。
インフルエンザを発症しても、子どもは薬の味が気になって飲まないこともあります。普段から薬を飲みやすくする子ども用のゼリーなどが家にあると安心です。
ママがインフルエンザを発症することもあると思いますが、どんなに体調が悪く家の中で過ごしていたとしても、子どもが小さいうちは手がかかり、体を休ませることができないことがありますよね。買い物にも行けない時のために、あらかじめ調理しなくても食べられる食料をストックしておくといいかもしれません。
高熱では汗を大量にかくため、脱水対策として、電解質を補給できる飲料もあるといいでしょう。体調不良を長引かせず、インフルエンザ流行の季節を乗り切りたいですね。
引用元:
怖いインフルエンザ肺炎、脳症…妊娠中のママ、子ども、高齢者が気をつけること(ヨミドクター)