妊娠を望んでいるのになかなか自然にできない、そんなとき不妊治療を始めようと思う夫婦もいることでしょう。その際に気になるのが不妊治療にかかる費用。日本では現在、人工授精や体外受精など高額な治療の大部分が、健康保険の適用されない自費診療で行われているそう。そのため治療にかかる多額の費用を自己負担している家庭も多いようですね。ママたちからは「不妊治療は保険適用にしてほしい」と思う声がある一方で、「保険適用にすべきじゃない」という声も上がっています。ママたちの本音は? また不妊治療を行う際に各自治体から「特定不妊治療費助成事業」として助成金がでます。こちらの制度についても併せてみていきましょう。

参考:参議院 | 不妊治療にかかわるすべての薬剤と検査に対する保険適用に関する請願
「高額な費用は負担が大きすぎる」保険適用にしてほしい
『自分が不妊治療してて、助成金がとても助かった。保険適用になればいいな〜と思ってたから。薬代だけでも何万もするからね』

『年齢制限やある程度基準をクリアした人には全部適用してあげたいよね。私は2人目の不妊だったけど、1人目から不妊の人はさらに辛く苦しいのかと思うと、精神的に滅入ってしまうよね。それなのにお金もあんなに出して、心も体もおかしくなってしまうと感じてる』

『不妊治療経験者です。全部適用はしなくてもいいかな。理由はやめ時が分からなくなるから。ただ、一部は適用でもいいのかなとは思う。注射や内服は高額なこともあるし、人工授精は3回までは適用とかしてくれれば助かるかも。私は1人目も2人目も不妊治療して、結局授かったのは1人。国産の新車を買えるぐらいの貯金が吹っ飛びました。でも不妊治療したからといって結果が出るわけではないし、そこに財源を使うとなると難しいよね』

不妊治療を行っているママからしたら、高額な治療費を個人で負担するのには限界があることから、保険適用にしてほしいと思うのは当然かもしれません。一方で、保険適用の必要はないと考えているママたちもいますが、なぜでしょうか。

「保険適用の必要はない」。ママたちの本音は?
『できるかできないかわからないことにお金をかけるより、今生きている子どもたちの現在や将来を考えて対策する方が先』

『保険適用になったら、今よりも増して治療のやめ時がわからなくなるとも思うんだよね。ある程度の助成金は良いと思うけど』

『現在の「助成金申請」って感じでいいと思う。年齢制限や、回数制限あるし。「お金がかからなくなったのなら、もう少しやったら?」って周りに言われるのもつらい。限界までがんばりたいって自ら卵子がなくなるまで食らいつくのも悲惨』

『治療してまで授かるのも体にも負担だし。ずっと子どもができなくてストレスで離婚したものの、再婚して授かった人もいるから何とも』

「不妊治療をしたからといって必ずしも子どもができるとは限らない」「不妊治療の希望者が増えて多くの財源が必要になる」などの理由から、反対するママもいます。また年齢や期間の対象を設けず全てを保険適用にしてしまうと、治療のやめ時が決められず、結果として心と体が疲れ果ててしまうという意見もあります。そう考えると、仮に保険適用が認められるようになったとしても年齢や期間を制限するのか、どこで区切るのかも難しい問題になるかもしれません。

体外受精・顕微授精費用の一部を助成する「特定不妊治療費助成事業」
不妊治療には、実際に治療したママたちによると1回30〜60万円ほどのお金がかかることもあるようです。健康保険の適用にはなりませんが、高額な費用の一部が給付される助成制度が設けられてます。これは厚生労働省の『不妊に悩む方への特定治療支援事業』に基づいて、体外受精・顕微授精にかかる費用の一部、または全部を各都道府県、指定都市、中核市が助成する制度です。

たとえば特定不妊治療にかかった費用のうち、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで助成されます。ただこれには回数制限と年齢制限も設けられています。初めて助成を受けた際の治療期間の初日における「妻」の年齢が40歳未満であるときは6回、40歳以上であるときは通算3回まで。また平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には対象外、夫婦合算での所得制限があるなど、給付にはさまざまな条件が設けられていますので、希望される方は詳細をご確認くださいね。

参考:厚生労働省 | 不妊に悩む夫婦への支援について
「特定不妊治療費助成事業」の対象者や年齢制限は?
助成の対象者は法律上の婚姻関係がある夫婦で、特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された夫婦。気になる年齢については、治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦とされていますが、なかには年齢制限を設けていない自治体もあります。たとえば鹿児島県鹿屋市では治療開始時の年齢制限はありません。ただし夫または妻のいずれか一方、もしくは両方が、鹿屋市内に1年以上住所を有している夫婦であることなどが必要です。

参考:鹿児島県鹿屋市 | 特定不妊治療費助成事業のお知らせ
自治体によって異なる夫婦合算所得に注意
自治体によっては法律上の婚姻関係がある夫婦だけではなく、婚姻の届け出をしていない男女も対象になるケースも。東京都(八王子市の区域を除く)では事実婚の夫婦も助成対象としています。住民票の続柄に夫(未届)、妻(未届)等の記載があり、他に法律上の配偶者がいないことなどが条件です。また厚生労働省は対象者の所得制限を夫婦合算の所得ベースで730万円としていますが、東京都ではその条件も緩和。2019年4月1日以降に開始した治療については所得905万円未満を対象にするなど、所得制限額も自治体によって異なります。

参考:東京都福祉保健局 | 東京都特定不妊治療費助成の概要
申請期間に注意。東京都は3月31日締め切り
助成を受けるためには、各都道府県、指定都市、中核市において指定された医療機関を受診することが必要です。また申請期間が自治体によって異なるため、現在お住まいの自治体での締め切り日を事前に確認しておくことをお勧めします。東京都の場合は、助成対象となる治療が終了した年度末までに郵送で申請書を送ることが必要です(申請日は郵便局の消印日となり、3月31日消印有効)。申請期限を過ぎた場合は助成対象となりませんので、ご注意くださいね。

不妊治療を続けたいと思っても、多額の費用がかかってしまい治療を断念する夫婦もいることでしょう。助成金が出るようになったとはいえ、もっと公的な支援があればと考えるかもしれません。しかし「不妊治療が全額健康保険の適用になったらいいのに」と思う人がいる反面、「適用になると治療のやめ時が分からなくなりむしろ辛い思いをするのでは」と心配する意見もあるようです。不妊治療の保険適用、あなたは賛成ですか? 反対ですか?

引用元:
不妊治療は保険適用にすべき?やめるべき?助成金がもらえる「特定不妊治療費助成事業」についても解説(ママスタセレクト)