「妊娠糖尿病」は妊婦さんならではの病気ですが、無自覚・無症状で、知らないうちになってしまう病気です。しかも、だれもがなる可能性があります。
詳しく紹介します。
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「妊娠糖尿病」ってなに? どんな病気?

妊娠中に初めて糖代謝異常が発見されると、妊娠糖尿病と診断されます。どういうことかというと、正常の場合、食事からとった糖質(炭水化物)は体内でブドウ糖に分解され、インスリンというホルモンによってエネルギー源として取り込まれます。
ところが、何らかの理由で糖質がエネルギーとして使われる糖代謝に異常が出てきてしまうのです。糖代謝異常があるかどうかは、妊婦健診で行われる血液検査で、血糖値を測ることによって診断されます。妊娠糖尿病もまた、だれでも起こり得る病気です。
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どうして妊娠糖尿病になるの?

妊娠糖尿病は、妊娠中に発見された、または発症した軽い糖代謝異常です。妊娠中は胎盤から出るホルモンや酵素の働きなどにより、血糖を下げる働きのあるインスリンというホルモンが効きにくくなり、血糖が上がりやすくなります。血糖値が一定の基準値を超えると、妊娠糖尿病と診断されます。
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どんな人がなりやすいの?

●ママが35歳以上
●連続して尿糖が出た、または+++が出た
●妊娠中、過度に体重増加した
●もともと太り気味(BMI※が25以上)
□家族に糖尿病になった人がいる
□出生体重が4000以上の子を出産した経験がある

妊婦健診で毎回行われる尿検査で尿糖が見られると、その回数や量によって妊娠糖尿病の兆候があるとして、血液検査で詳しく調べることに。「妊娠高血圧症候群」と同様、もともとぽっちゃり気味のママや、家族に糖尿病になった人も、リスクが高めです。
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血糖値の検査ってどんなもの? どうやって診断されるの?

産院によって違いはありますが、一般的に血糖値の検査は妊娠中に2回行われます。1回目は初期の血液検査で血糖値を測ります。2回目は妊娠中期に50gグルコースチャレンジテストといって、甘いブドウ糖液を飲み、1時間後に採血をして血糖値をチェックします。ここで血糖値が基準値より高い場合、さらに詳しく検査をして血糖値の変化をチェックし、基準値を超えた場合に妊娠糖尿病と診断されます。


おなかの赤ちゃんに影響はあるの? 出産はどうなるの?

ママが高血糖になると、赤ちゃんも高血糖になり、赤ちゃんが巨大児(4000g以上)になる、お産のとき赤ちゃんの肩が産道に引っかかり難産になる「肩甲難産」のリスクがあり、帝王切開になることも少なくありません。また出産後、赤ちゃんは急激な低血糖に。放置しておくと脳に障害を起こし、成長や発達に影響が出ることも。

妊娠糖尿病を予防するためには何より毎回の妊婦健診をきちんと受けること、適度な運動とバランスのいい食事をとることが大切。もともと糖尿病などの持病がない妊婦さんでも、尿糖が出たり、血糖値が高くなったりすることは少なくありません。油断せずにしっかり健康管理していきましょう。(文・樋口由夏、たまごクラブ編集部)

出典 たまごクラブ2020年1月号
監修 順天堂大学医学部
産婦人科学講座 先任准教授
牧野真太郎先生
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たまひよ ONLINE編集部


引用元:
妊婦は注意、だれもがなる可能性のある「妊娠糖尿病」を医師に聞く(Yahoo!ニュース)