出生数が過去最少 少子化待ったなし
早いもので令和元年も、あと10日ほどで終わろうとしています。
今年のニュースの中で、一般的にはさほど大きく取り上げられないものの、日本の未来にとって非常に重要な意味を持つものがあります。そのひとつは間違いなく「出生数の大幅減少」ではないでしょうか。1899年の統計開始から初めて90万人割れし、過去最少となるのが確実になってしまいました。予測よりもはるかに早く、少子化が待ったなし状態となっています。
少子化の原因は、生涯未婚率の上昇、晩婚化・晩産化、仕事と育児の両立、不景気による先行き不安からくる産み控えなど様々言われていますが、そうした状況にありながらも、私の周りには子どもを産みたいと望む当事者が増え続けているように感じています。
前回のコラムで述べたように、20代から不妊治療をして頑張っているカップルもいれば、40歳近くになって治療を始めて努力しているカップルも多くいます。
「来年45歳 でも私、卵子が結構とれるんです」 決められない不妊治療のやめどき
やめどきに悩む年末
そんな中、この時期になると必ず寄せられる相談があります。
「不妊治療のやめどきがわからない」という悩みです。
12月は年賀状や帰省の準備も必要ですし、おのずと今年一年を振り返ることになります。ひいては「こんなに頑張ってきたのに、うちには赤ちゃんが来なかった」という事実を突きつけられる時期でもあるわけです。これは当事者にとって大きな精神的負担になります。
40代夫婦 「まだまだ可能性ある」と言われて頑張ったが…
結婚2年目のMさんは、不妊治療歴も2年。同い年の夫とは再婚同士で、年齢は44歳です。「二人とも子どもはいなくて別れたので、このままバツイチでずっと一人でいるんだろうなって思っていたんです。でも同窓会で十数年ぶりに再会して……。まさか再婚するとは思わなかったんだけど……」とMさん。二人とも子どもは好きだったのにいないということで、「ダメ元で」結婚してからすぐに近所の病院に通いだしたとのこと。そこで、すぐに体外受精をとすすめられ、それからずっと頑張っているのに「成果が出ない」と言います。
「最初は、年齢もあれだし、きっと無理だろうから。でも一応検査だけでも、と思っていってみたんです。そうしたら私ぐらいの年齢はまだまだ可能性があると言ってもらって、じゃあちょっと頑張ってみようかなと。実際、半年後に妊娠したんです! それでもう夫と二人で大喜びして、親にも連絡して。親が泣いて喜んでくれて。こっちももらい泣きしちゃって。でも、流産になってしまって……」
その時に、自分が思ってもみないほどの大きなショックを受けてしまい、そのこと自体ショックだったと、Mさんは言います。「ああ、私本当は子どもがすごく欲しかったんだな。この人の子どもを産みたいって思っていたんだなって思うと、なんだかもう、絶対欲しいと思っちゃったんですよね」。
「もう1回だけがんばってみようかな。どこであきらめたらいいのか」
それ以来、仕事をやめて治療に専念してきたものの、残念ながらMさんはその後、妊娠反応を見ることがなく、今に至っているそう。
「来年は二人とも45になるし、もうあきらめなきゃいけないのかなって。でも私、卵子が結構とれるんです。グレードもいいって言ってもらって。じゃあ、もうちょっと頑張ったら、また妊娠できるのかなって。1回妊娠できたし。もう1回だけ頑張ってみようかなって。なんかもう、どこであきらめたらいいのか、あきらめなきゃいけないのか、わからないんです……」
納得いく治療ができたか? やめどきを決めるカギ
「来年45歳 でも私、卵子が結構とれるんです」 決められない不妊治療のやめどき
一度妊娠できたから余計にあきらめがつかない、Mさんのような方は多く、私も経験があるので、その気持ちはとてもよくわかります。そして、「どこであきらめればいいのか」という問いには、正確な答えがなく、自分たちで探していくしかないのもつらいところです。
こうした時に私がお伝えするのは、周囲の友人たちのケースです。拙著にも書かせていただきましたが、不妊治療のやめどきはそれぞれで、たとえば「何歳になったら」「治療を何回したら」「病院を何回変わったら」「何年治療をしたら」「いくらお金を使ったら」など、何らかの区切りを予あらかじめつけておき、そこで線引きをする人もいます。また「卵子がとれなくなったら」と、物理的に自分が治療ができなくなるまで続けたというケースもあります。実際は、こちらの方が多いかもしれません。可能性がある限り、あきらめがつかないのがこの治療の特徴でもあるからです。
「やめどきは、どうやって決めるのがいいんですか?」とよく聞かれます。とても残念ながら、「こうすればやめられる。あきらめられる」という正解はありません。線引きをしてすっぱりやめられるというものでもなければ、治療をやめたら思いや悲しみがなくなるというものでもありません。ただひとつ言えることは、「納得のいく治療ができたかどうか」は大きなカギになると私は思っています。不妊治療自体に後悔があると、子どもに恵まれても恵まれなくても、その後、必ずなんらかの後悔が残ります。だからどうか、悔いの残る治療だけはしないでほしいと願っています。
二人の思いを吐き出そう
不妊治療は、カップルで取り組む治療です。始めるときも、継続するかどうかで悩むときも、もちろんやめるときも、どうぞ、お二人でたくさん話をしてください。本音をちゃんと伝え合いながら、二人の思いや気持ちを全部テーブルの上に出してみてください。そうして、それらを見つめながら、これからのことを二人で考えてみることをおすすめしたいです。
今年一年、不妊治療を頑張ってきた皆さん、本当にお疲れさまでした。一年を振り返るこの時期は、ちょっと切ないですね。私も年末年始はつらくて、とても嫌いな時期でした。「一年頑張ったのに、今年子どもに恵まれなかった私」ではなく「一年、目標のために一生懸命頑張ってきた私」を、どうぞ、いっぱいねぎらい、褒めてあげてください。二人でお互いに褒め合い、感謝し合ってもらえたらなと思います。そして、来年は今年よりも、大小様々ないいことがたくさんありますように、心から願っています。(松本亜樹子 NPO法人Fine=ファイン=理事長)
引用元:
「来年45歳 でも私、卵子が結構とれるんです」 決められない不妊治療のやめどき(ヨミドクター)