子宮頸(けい)がん予防啓発「高崎美スタイルマラソン2019」が10月14日(体育の日)に開催された。台風19号の影響が心配される中、多くの関係者の尽力により大会を実施できた。今年で第8回になる大会は、佐藤病院の外郭団体であるNPO法人ラサーナが主体となり、高崎市と共催で行っている。

 ラサーナは、女性の元気をサポート、特に子宮頸がんに関する医療情報と予防法を啓発するために、10年前に立ち上げられた。ちょうど子宮頸がん予防ワクチンが認可された時である。

 親戚の十七回忌の法事が行われた。若くして逝ってしまった親戚のおねえさんは、子宮頸がんであった。優しく美人の彼女が大好きだった。大学での出来事や悩みを相談したり、生まれたばかりの彼女の子どもをあやしに、よく家に遊びに行ったりした。

 月日がたったある日、親父(おやじ)から子宮頸がんであることを聞いた。診察した親父は何日も眠れなかったという。「大丈夫だよな?」。ご主人の問いに答えられなかった。親父と共に自分たちの無力さを嘆いたことを忘れてはいない。その時から、自分に何ができるかずっと考えていた。

 子宮頸がんは、原因のわかっている数少ないがんである。HPV(ヒトパピローマウィルス)が、子宮の頸部(けいぶ)に感染することにより起こるが、ほとんどはがんにならず自然に治る。ごく一部がんに進むのだが、それでも現在日本では年間1万人もの女性が子宮頸がんにかかり、3千人が死亡している。防げるはずのがんであるのに非常に残念だ。

 問題は、これから妊娠出産を考える人や、子育て中の20代から30代の若い女性に多いことである。検診で早期発見できるのだが、日本では検診率がとても低い。ぜひ検診を定期的に受けてほしい。

 最近HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)を接種する人が増えているという。副作用の問題で積極的な勧奨が中止されているワクチンだが、さまざまな報告から安全であることが徐々に周知されてきた。WHOは一貫して安全性が高く有効性は明らかとしている。相変わらず国やマスコミの対応ははっきりしないが、正しい情報を自ら得た人たちは、HPVワクチンを再評価してきている。

 ワクチンは、自分がかからなくなるだけでなく、人にうつすこともなくなる。多くの人がワクチンを接種することにより、社会全体で病気を防ぐことができるのだ。みんなで病気の予防について考えたい。情報を発信する者には、責任感を持ってほしい。情報を受ける側は、正しい情報を見分ける努力をしよう。

 あの時高校生だったおねえさんの長女は、高崎美スタイルマラソンの実行委員長として、自分のように悲しむ人が一人でも少なくなるよう、頑張っている。


産科婦人科舘出張佐藤病院院長 佐藤雄一 高崎市竜見町

 【略歴】佐藤病院グループ代表。産婦人科専門医。生殖内分泌や腹腔(ふくくう)鏡手術が専門で、2007年に不妊治療専門施設を高崎市内に設立。順天堂大医学部卒。

引用元:
美スタイルマラソン 子宮頸がん予防考えて(上毛新聞)