妊娠中に抗うつ薬を服用すると、妊娠糖尿病のリスクが上昇する可能性が報告された。抗うつ薬を服用している期間に応じてリスクが高まることや、抗うつ薬の種類によって影響が異なる可能性も示されている。モントリオール大学(カナダ)のMaëlle Dandjinou氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open」10月1日オンライン版に掲載された。
 Dandjinou氏らは、カナダのケベック州における全妊婦を対象とするコホート研究のデータを用いた症例対照研究を実施。1998〜2015年に妊娠糖尿病と診断された2万905人と、年齢などをマッチさせた対照群を1対10の比率で割り付けた。これらの検討対象の4.2%に当たる9,741人に、妊娠期間中に抗うつ薬が処方されていた。
 年齢や居住地域、福祉制度の利用状況などで調整後の検討により、抗うつ薬が処方されていた群は妊娠糖尿病と診断されるオッズ比が1.19(95%信頼区間1.08〜1.30)であり有意に高いことがわかった。
 この影響は抗うつ薬の種類によって差が見られ、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬のベンラファキシン(オッズ比1.27、95%信頼区間1.09〜1.49)、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン(同1.52、1.25〜1.84)で高く、また2タイプ以上の抗うつ薬を併用した場合(同1.31、1.10〜1.56)も有意にリスクが上昇していた。選択的セロトニン再取り込み阻害薬については、妊娠糖尿病のリスクと有意な関連は見られなかった。
 妊娠期間中の抗うつ薬使用期間との関連を見ると、使用が90日未満の場合のオッズ比は1.15(1.03〜1.28)、90〜179日では1.17(1.00〜1.39)、180日以上では1.29(1.13〜1.48)であり、使用期間の長さに応じて妊娠糖尿病のリスクが上昇していた。
 著者らは、妊娠前から妊娠期間中のうつ病の頻度が高いこと、および管理が不十分なうつ病は妊娠中や出産後に悪化する可能性があることから、「妊娠中のうつ病の治療は大きな懸案だ」としている。その上で本研究から得られた知見に関して、「妊娠糖尿病の発症など、妊娠中の抗うつ薬使用に関連する有害事象を、うつ病治療に抗うつ薬を用いない場合の結果と比較検討する必要がある」と述べている。
 なお、著者の1人は抗うつ薬の使用と先天性疾患に関する訴訟の原告コンサルタント業務を行っていることを明らかにしている。

引用元:
妊娠中の抗うつ薬使用で妊娠糖尿病のリスク上昇の可能性(糖尿病リソースガイド)