2歳の女の子が小児がんと闘う子どもたちのために生まれて初めて髪を切ります―。がん治療など病気で髪を失った子どもたちのウイッグ(かつら)にするための髪の毛を寄付するヘアドネーション。この取り組みを支援している福岡ピースライオンズクラブからこんな知らせが届いた。有名女優が長髪をばっさりと切って寄付したことで注目を集めたが、まだ広く浸透しているとはいえない。ヘアドネーションの現場を訪ねてみた。

 2歳の女の子は福岡市西区の長谷ひよりちゃん。母親の麻都香さん(29)が働く同区能古島の観光施設「のこのしまアイランドパーク」のコスモス畑で11月中旬、ヘアカットをした。

 同市中央区の美容室「beat+」の徳重勇気さん(38)が同ライオンズの依頼を受けボランティアでパークに出向いた。徳重さんはまず、ひよりちゃんの髪を、16センチの長さにそろえて切れるよう輪ゴムの位置を調整しながら10本の毛束をつくった。続いてカットへ移るが、髪をぬらすのは厳禁。湿るとカビや雑菌が繁殖してしまうからだ。切り取った束をプラスチック・バッグに入れてから、徳重さんは仕上げのカットをした。

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 ひよりちゃんが髪を切るきっかけは、麻都香さんが知人の同ライオンズの久保田美代子会長からヘアドネーションを広める思いを聞いてからだ。久保田さんの実父は23年前、白血病で亡くなった。重い副作用に耐え、抗がん剤治療を続けた実父を思い出しながら久保田さんはこう語りかけたという。「小さな体で、がんと闘っている子どもたちを何とか支えたい」。

 七五三で日本髪を結うために髪を伸ばしてきたひよりちゃん。麻都香さんは「七五三を祝ったら、病気をしている子どものために髪の毛をちょうだいね」と何度か話しかけ、分かってもらった。「人のために役立つことで、赤ちゃんから卒業しました」と麻都香さん。ひよりちゃんには、次の七五三でも髪を寄付してもらいたいと願う。

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 ひよりちゃんの髪は、ライオンズクラブ国際協会337−A地区(福岡県と長崎県の一部)キャビネット事務局を通し、ほかに寄せられた髪と一緒に病気や外傷などで髪を失った子どものためにウイッグを無償提供しているNPO法人に送る。昨年は同地区で317人が髪を寄せた。ウイッグづくりには31センチ以上が必要で、ひよりちゃんのように16〜30センチの髪は帽子と組み合わせたウイッグになる。

 同地区FWT(ファミリー&ウーマンチーム)コーディネーターで小児がん患者支援担当の牛原朱美さん(57)は「寄付は大人が中心だが、若い世代にも呼び掛け、闘病する子どもたちの気持ちに寄り添い、笑顔にしてもらう活動を広げていきたい」と話した。問い合わせは同地区キャビネット事務局=0944(32)9112。(下村佳史)





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引用元:
ヘアドネーションって何? 髪を寄付、闘病者を支え(西日本新聞)