春先を中心に、東アジアの砂漠地帯から飛来する黄砂について、東邦大学や九州大学、国立環境研究所のグループは、妊婦が黄砂にさらされると、赤ちゃんが生まれる前に胎盤が子宮からはがれ、早産が起こる危険性が高くなることをつきとめた!
黄砂はゴビ砂漠やタクラマカン砂漠の砂塵が強風で巻き上げられて、風にのって日本海を超えて飛来する現象で、通常は春先に九州各地を中心に降ることが多いが、今年は先月末から今月初めにかけても西日本各地で観測されたばかり。
今月初めにも観測
早期
胎盤の早期剥離とは、出産後にはがれる胎盤が、出産前にはがれることで、母体や胎児に影響を及ぼし、早産を引き起こすおそれがある(九州大学大学院)
黄砂は砂ぼこりだけでなく、微生物や大気汚染物質も運ぶことから、呼吸器や循環器への悪影響が危惧されてきたが、これまで妊婦や胎児への影響はよくわかっていなかった。
グループは、全国9都府県に設置されている大気中の塵を測定できる観測装置のデータを利用して、2009年から2014年までの6年間に黄砂が飛んできた日の調査を実施。
さらに9都府県内の113カ所の産婦人科医院でこの期間中に出産した妊婦3014人を対象として、年齢や喫煙の有無、血圧などの健康状態と、気象条件を検討し、黄砂と胎盤の早期剥離の関係性を分析した。
黄砂にさらされるとリスクが高くなる
早期剥離
黄砂にさらされていないより、さらされた妊婦のほうが、胎盤の早期剥離を起こす確率が高くなる(東邦大、九州大、国立環境研究所)
その結果、出産の1〜2日前に黄砂が飛来した場合、早期剥離が起こる確率が、黄砂が無い日に比べて1.4倍に増えることがわかった。黄砂飛来時には二酸化窒素や二酸化硫黄、光化学スモッグ(オキシダント)の大気汚染濃度が高くなるので、統計学的にそれらが起こる原因の影響を取り除いて分析を行っても、やはり黄砂と早期剥離の関係性が認められたという。
また、妊娠後期にあたる妊娠35週以降の段階で、早期剥離が急激に進み、分娩まで1日かからなかった場合についても調べたところ、黄砂があったときは、無かったときより早期剥離が1.6倍多くなったという。
胎盤が出産前に子宮壁からはがれてしまうと、妊婦の出血が多くなるのにくわえて、お腹の中の赤ちゃんは胎盤を介して酸素や栄養供給が途絶えてしまうため、母子両方の生命にリスクを及ぼす。
今回の研究では、黄砂が早期剥離を引き起こすメカニズムについてはわからなかったが、研究グループは黄砂に含まれていると考えられる「グラム陰性桿菌(かんきん)」という微生物が炎症を引き起こし、早産の原因になると考えている。
別の研究で、黄砂には全身性の炎症を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの急性疾患を引き起こす可能性があることも指摘されていることから、研究グループは引き続き、黄砂が妊婦や子供の健康に影響を及ぼすメカニズムの解明を目指すとしている。
引用元:
「黄砂」がお腹の赤ちゃんに悪影響!早産が起こるおそれ(ハザードラボ)