「お一人様一点限りに赤ちゃんは含まれる?」。ネットの掲示板「ガールズちゃんねる」で、そんなスレッドがたち、話題となった。

スレッドをたてた人によると、子供(0歳)とともに、スーパーで売られていた「お一人様一点限り」で特売されている卵を2個持ってレジに行ったところ、店員に「赤ちゃんはまだ(卵を)食べられないよね?」と言われ、1個しか買えなかったという。

レストランなどでは赤ちゃんも人数に入れてくれることを例に挙げ、赤ちゃんが「お一人様」に含まれるか否かの判断が難しいと感じたようだ。

スレッドでのレスポンスには、「レジで支払いする人の数じゃないの」「イメージは小学生以上かな」「店の方針に従うべき」などの反応があった。また、「こういうのがあるから最近は『一家族様一点のみ』になってる」という指摘もあった。

スーパーの特売でかかげられている「お一人様」に赤ちゃんは含まれないのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。

●赤ちゃんは原則として「お一人様」に含まれる
「スーパーやデパートなどが商品の陳列をすることは、売買契約の申込みの誘引、つまり客に売買契約の申込みをしないかと誘いかける性質を持つものと考えられます。

『お一人様一点限り』というのは、その申込みの誘引にあたり、『お客様が買いたいと考えて申し込んでくれても、こちらからはお一人2個以上は承諾しません』と予告するものと考えられるのではないでしょうか。

そして、この『お一人様』の中には、原則的には赤ちゃんも含まれるといえます。

人は、生まれた時から取引の主体となる資格を持っています。これを『権利能力』といいます。

ただ、未成年者は、取引をするにあたって合理的な判断をすることが十分にできないので、法律は、親権者などの『法定代理人』が原則としてその取引を代理することとしており、未成年者が自分自身で行った取引を取り消すことができるとされているのです。

ですので、取引の世界では、赤ちゃんも大人と同じ『お一人様』とカウントされることになります。

その上で、赤ちゃんは自分で物を買ったりお金を借りたりすることができないので、親権者などの法定代理人がこれを代理して行うということにすぎないのです」

●「お一人様」の範囲が限定されていない限り、赤ちゃん連れで複数個買うことができる
「スーパーでの買い物も取引に変わりありませんので、同じように考えます。『お一人様』とは、法律的に考えれば『権利能力の主体一人ずつ』ということになるでしょう。

ですので、『お一人様一点限り』と表示があるのならば、対象となっているものが卵であろうとオムツであろうと、赤ちゃんも『お一人様』としてカウントされることになります。

仮に、スーパー側が『お一人様』に赤ちゃんや年少の子供を含めたくないというのであれば、あらかじめ『お一人様(小学生以上)一点限り』などと記載することが必要ではないでしょうか。

そうでない限りは、客側が『赤ちゃんも含めてお一人様一点』と数えて商品を購入しようとしたとしても拒絶することはできないと思われます」

引用元:
「お一人様一点限り」、赤ちゃんにも権利はあるの? 弁護士の見解を聞く(ニコニコニュース)