二次性徴に伴い異性に興味が出てくる時期に、性の健康教育に基づく正確な知識を身に付けてもらおうと、岸和田市の津田助産院の津田育久子さんが各地で講演活動を続けている。インターネットを介して、子どもたちが偏った情報に惑わされるリスクにさらされている懸念があるからだ。学びを通して安全な性行動を選択する力を養い、性感染症や予期しない妊娠の予防につなげる狙いがある。


中学生に命の大切さを伝える助産師の津田さん=八尾市内の中学校
 「皆さんが交際をしたら、性行為をするかもしれないでしょ。人の体を知っとかなあかんし、自分の体も知っとかなあかん」

 10月下旬、八尾市内の公立中学校。外部講師として招かれた助産師の津田さんは、3年生の男女計200人に力強い口調で語り掛けた。開始前のざわざわした空気は消え、生徒らの真剣な視線が津田さんに注がれた。

■思慮深い行動を
 スライドを使い、思春期の二次性徴に伴う体の発達、射精、月経、性感染症について図解を交えて説明。避妊方法の紹介ではコンドームの装着方法に関する動画があることや、緊急避妊法として性交後72時間以内に飲む女性ホルモン剤についても説明した。

 「皆さんは妊娠できる体、妊娠させることのできる体になっている。性感染症や妊娠のリスクを頭に置き、同意の下で性行為をするという選択もあると思う。ただ命を育てるということは覚悟が必要です」

 スライドには、出産で津田さんが新生児を取り上げた際の写真が映し出された。さらに胎児の心拍音を聞かせるなど、21年の助産師経験を交えて命の重みと思慮深い性の健康教育について伝えている。これまでに府内の中学校を中心に、約100回の講演を行ってきたという。

■正しく自己決定
 「リスク防止のために性行為自体をすべきでない」とする考え方もある。だが津田さんは「私たち大人が考えている以上に、子どもたちは性行為をしているケースが多い。トラブル時に対処法や窓口を事前に伝え、正しい性の自己決定ができることが重要。また助産師に相談してくれるような関係が必要」と強調する。

 同校の養護教諭は「『性行為は駄目』という指導では、生徒がトラブルを抱えても、怒られることを心配して相談に来なくなる。『性行為をいずれするという前提』の指導の方が、何か起きたときに後手に回らずに済むのではないか」と語る。

 中学卒業後は就職をしたり、高校を中退する生徒もいるため、性の健康教育を学ぶ“最後の砦(とりで)”に当たるのが中学校だと言える。

 津田さんは「高校で教えたのでは遅すぎる。性の健康教育は生きていくために必要。自分の体に興味を持ち、自分を大切にするということや他人を尊重するということはどういうことかを考えてほしい。そして子どもたちには、『いつもあなたのそばに助産師がいます』と伝え続ける必要がある」と望んだ。

 人工妊娠中絶と性感染症報告数 厚生労働省によると、2018年度の人工妊娠中絶件数は、15歳が475件▽16歳は1356件▽17歳は2217件▽18歳は3434件−と年齢が上がるごとに増加。また性感染症の同年度の報告数は性器クラミジア感染症、尖圭(せんけい)コンジローマ、梅毒など五つのいずれも「10〜14歳」の年齢区分の報告数に比べて「15〜19歳」で増加している。

引用元:
正しい性知識 身に付けて 各地の中学校で講演活動(大阪日日新聞)