母親の母乳が得られない早産児に、別の母親からの母乳を提供する国内唯一の母乳バンクの運用に約5年間携わってきた昭和大小児科の水野克己(みずの・かつみ)教授が「母乳バンクの必要性を知ってほしい」と支援を訴えている。


 早産だと母親の母乳がすぐには出ない場合がある。すると人工乳が使われることが多いが、水野さんによると、特に「極低出生体重児」と呼ばれる1500グラム未満の赤ちゃんには人工乳を上回る利益があるとして、欧米の学会などは、母乳バンクで安全性のチェックを受けた母乳を与えるのが望ましいと推奨。世界約50カ国に600余りの母乳バンクがある。
 国内では2014年、水野さんら厚生労働省研究班が昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)に、母乳のやりとりを病院内に限定したバンクを初めて開設した。提供は無償とし、提供者の検査項目や母乳の殺菌方法などの運用基準を決めた。
 その実績を基に、バンクの運用主体として一般社団法人日本母乳バンク協会が17年に発足。水野さんが代表理事となり昨年は東京、埼玉、静岡、奈良の7病院、約50人の赤ちゃんに母乳計54・7リットルを提供した。今年はこれを上回る見通しという。
 協会は「家庭の経済事情と関係なく利用できるようにすべきだ」との考えで、利用者からの費用徴収はしていない。当面は病院から集める年会費と個人や企業の支援で運営を続けたいとしている。
 水野さんは「極低出生体重児は毎年数千人生まれており、本来は全国に母乳バンクを整備するのが理想だが、費用負担をどうするかが課題。公的支援も含め、持続可能な方策を考える必要がある」と話している。

引用元:
母乳バンクに理解と支援を 運用5年の医師が訴え(47NEWS)