風疹の感染が広がっている。

 発症すると発熱や発疹といった症状が現れ、重篤な合併症を併発するケースもある。最も警戒すべきは妊娠初期の女性への感染だ。生まれてくる赤ちゃんに先天性心疾患や白内障、難聴といった「先天性風疹症候群(CRS)」と呼ばれる障害を引き起こす恐れがある。

 感染歴や過去に予防接種を受けた経験のない人は、早急に抗体検査を受けてほしい。

 約1万4千人の風疹患者が報告された2013年以降、流行は終息に向かい、17年には100人を割った。ところが18年は一転して2900人を突破し、今年も都市部を中心に感染が広がっており、国立感染症研究所によると7月末時点で2千人を超えてしまった。

 13年の風疹流行では、30人を超えるCRSの発生報告があった。今年も既に3人を数える。妊娠した後はワクチンの接種ができないので、妊婦は外出でマスクを使用するなど感染防止を心掛けてほしい。併せて大切なことは、抗体を持たない周囲の人が新たな「感染源」にならないことである。

 特に注意が必要なのは、公的なワクチン接種の機会がなかった1962年4月2日から79年4月1日の間に生まれた、40〜57歳の男性である。抗体を持たない人が多く、流行の原因となっているとみられる。

 国は4月から、3年計画でこの年代の男性の抗体検査とワクチン接種を原則無料にする対策に乗り出した。本年度はまず72年4月2日〜79年4月1日生まれの約650万人に、自治体が受診券を配布している。だが残念ながら、受診は低調だ。

 今年7月までの4カ月間で抗体検査を受けたのは対象者の約16%にとどまる。ワクチン接種を受けたのは約14%で、九州7県に目を向ければ、大分と佐賀が全国平均を上回ったものの、福岡と長崎は9%、熊本8%、鹿児島4%、宮崎はわずか1%だった。各自治体は対象者への告知に力を入れるべきだ。

 対象者は働き盛りの中年男性だ。「検査を受けたいが、時間的余裕がない」との声もある。企業の側も、定期健康診断に風疹の抗体検査を組み込むことを積極的に検討してほしい。

 米疾病対策センター(CDC)は昨秋、予防接種や感染を経験していない妊婦に日本への渡航を自粛するよう注意喚起している。来夏には東京五輪・パラリンピックが開催される。国際的信用を失わぬためにも、年内には流行を抑え込みたい。

 感染症予防は自分のためだけでなく社会全体のために重要なことだ。私たち一人一人が改めて肝に銘じる必要がある。

引用元:
風疹流行 妊婦への感染を防ぎたい(西日本新聞)