厚生労働省と文部科学省は28日、合同で専門委員会を開き、遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」を人の受精卵に施して難病のメカニズムなどを探る研究の容認に向けて、研究指針を見直す議論を始めた。これまで不妊治療に限ってきた基礎研究の範囲を難病にも広げる方針だ。早ければ2020年4月に運用が始まる。

不妊治療に役立つ基礎研究は、4月に文科省と厚労省が容認する研究指針を施行した。ゲノム編集した受精卵を扱うことで、ハンチントン病など遺伝性・先天性の難病が発症するメカニズムの解明や、治療法の開発につながると期待される。両省の合同会議で議論し、秋ごろに内閣府の専門委員会に報告する。

不妊治療の基礎研究では、卵子と精子から新たに受精卵を作って研究できるように指針を見直す計画だ。現状で使われる受精卵は受精後5〜6日ほどで凍結保存されたものが多いが、新たに作る受精卵を使えば、より初期段階での変化も研究できるようになる。

いずれも研究は受精後14日以内とする。使った受精卵の廃棄を求め、人の子宮に戻すことを禁じる。研究指針は民間クリニックは対象外となるため、厚労省はゲノム編集した受精卵を母胎に戻すことを禁じる法規制の検討も進めている。

28日の合同会議では、委員から「研究の審査体制を慎重にすべきだ」「研究の進捗の報告を義務化すべきだ」といった意見が出た。


引用元:
受精卵ゲノム編集 難病研究への拡大議論 厚労・文科省(日本経済新聞)