新見千雅 気象予報士ママの「健康注意報」
猛暑の日々が続く今年の夏ですが、体調を崩して病院に搬送される人が相次いでいます。
暑さだけではなく、気象・天気の状況が変わって体に影響が出た経験をお持ちの方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
みなさま、こんにちは。日本気象協会の気象予報士・新見千雅と申します。
現在は2児の母として子育てしながら、気象データとレセプト(医療報酬の明細書)データを使って、様々な疾患の発症・重症化リスクに関する情報を提供するサービス「Health Weather(R) (ヘルスウェザー)」プロジェクトに参加しています。
これから、気象・天気に関係する体の不調や病気などについて、お話ししていきたいと思います。
続く残暑 子どもの脱水に注意!…新生児は体重の約80パーセントが水分
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日よけフードを付けたベビーカーに乗せても…ヒヤヒヤの時期
今回は、暑さと乳幼児の体調について考えてみます。
私は第1子を出産した年、初めての母乳による育児生活を過ごした夏は、とくに脱水に気をつけた記憶があります。
室内の温度をエアコンで調節したり、日々の買い物は日中の暑さが和らいだ夕方に行ったりと工夫しました。ただ、2週間健診、1か月3か月健診や予防接種など、日程や時間が決まっている時は、気温が高めでも外出しなければいけないことがありますよね。抱っこ紐ひもと同時に、まだすわらない首を支えるパッドも購入しましたが、気温の高い日に装着すると風通しが悪くなり、さらに暑そうであまり使えなかったものもあります。
日よけフードを付けたベビーカーに乗せて、風通しをよくしても、高さが低い分、地面からの放射熱の影響をうけやすく、大人より暑さにさらされてしまう危険性もありますね。ヒヤヒヤしながら新生児期、乳児期を過ごしたのは忘れられません。
1歳を過ぎて一人歩きを始めてからの幼児期は、公園で遊ぶ時間が長くなり、走り回って汗をかく機会が増えました。しかし遊びに集中するあまり、喉が渇いたと伝えてこないことがあります。毎日、時間をみてこちらから水を飲むように促しています。
意外と知られていない…成長するための水分が必要
乳幼児は大人より脱水になりやすいと言われています。
まず、大人では体重の約60パーセントが水分ですが、それに比べると、新生児は体重の約80パーセント、乳児は体重の約70パーセント、幼児は体重の約65パーセントと、体内の水分の割合は大人よりも高く、さらに体を大きくしていく、つまり成長(発育)のためにエネルギーが必要であり、体重1キロ当たりにすると、大人に比べて多くの水を必要としています。
その一方で、乳幼児は腎臓で尿を濃縮して、尿を少なくする働きが大人に比べて未熟なため、大人よりも尿が多くなります。また、新陳代謝が活発で、不感蒸泄(じょうせつ)という皮膚や呼気から失われる体重1キロ当たりの水分が大人よりも多くなります。こうした理由から、乳幼児は体重当たりの水分を大人よりも多く必要としているにもかかわらず、大人よりも失いやすいわけです。
そのため、乳幼児の脱水は軽度の段階で大人が気付くことが重症化を防ぐことにつながります。
続く残暑 子どもの脱水に注意!…新生児は体重の約80パーセントが水分
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おむつ交換の時、おしっこの量を毎回みる…脱水症状のチェックポイントとは
なるべく早く変化に気づくために、脱水の症状をチェックしておきたいですね。
まず、おむつ交換の時には毎回、尿の量をみるようにしたほうがよいでしょう。もし尿の量が少ないと感じたら、脱水の可能性があります。おむつは肌かぶれ対策に吸収力や通気性の良いものがあり、排尿しても赤ちゃんが泣いて知らせてくれないこともありますよね。
授乳の時などで尿の量もみるようにタイミングを決めておくといいでしょう。
足の裏や唇が乾燥しているなど、お肌の状態でも脱水がわかることもあります。こまめに授乳したり、赤ちゃん用のミネラルウォーターなどの水分をあたえたりして、短時間で尿の量や肌の乾燥がいつも通りに戻るなら問題ないでしょう。
体重が数日のうちに減少していないかというのも、脱水かどうかを判断するポイントになるので、普段から体重を測っておくのもいいですね。
その後、成長しておむつを卒業した後も、尿の回数を気にした方がいいでしょう。
成長とともに一回の尿量が増えるため、一日の尿の回数は次第に少なくなってきます。一日の尿の回数の目安は、新生児は15〜20回、乳児は10〜16回、幼児は5〜8回と言われています。ただ、実際には個人差があるので、普段より少なくなっていないかという視点が大切です
脱水になると便の水分量が少なくなるため、硬くなってころころとした感じになったり、便秘になったりすることも考えられます。乳幼児が排便に時間がかかっている時は特に、便の状態を観察するといいでしょう。本人に便を出しにくくなっていないか、聞いてみるのもいいですね。
ロタウィルスなどの感染から脱水へ…さらに発熱したら熱中症の疑いも
日々体調に気をつけていても、脱水が早く進行するケースもあります。
子どもは自分の状態を言葉で伝えるのは難しいので、大人が客観的に判断し、受診のタイミングを逃さないことが大切です。
1歳半ぐらいまでの時期は、脱水が進行してしまうと、大泉門(だいせんもん)という頭蓋骨の隙間の柔らかいところがへこむことがあります。赤ちゃんの顔色が悪く心配な時は、おでこと頭頂部の間あたりを優しくなでてみて、大泉門の状態も調べてみるといいかもしれません。
汗をかきやすい気温でなくても、乳幼児はロタウイルスやアデノウイルスなどに感染しやすく、嘔吐(おうと)、下痢などの胃腸炎の症状から、脱水を引き起こし悪化させる可能性があります。また、脱水の症状に加え、発熱している時は、熱中症の疑いもでてきます。さらに、ぐったりと元気がないときは重症化している恐れがあります。
いずれもすぐに医師の判断が必要になりますので、速やかに受診しましょう。
引用元:
続く残暑 子どもの脱水に注意!…新生児は体重の約80パーセントが水分(ヨミドクター)