橋本病の治療をしている最中に妊娠することは可能なのでしょうか。今回は30代の女性からの相談です。橋本病の治療でチラーヂンを毎日服用している相談者さんですが、なかなか妊娠しないといいます。また、妊娠した際には薬の服用を止めるべきかと悩んでいます。専門家からはどのような回答が寄せられたでしょうか。
病気治療中の妊娠についての相談:「橋本病の治療中の妊娠とチラーヂンの影響について」
3年前に結婚し、現在38歳になります。20代から橋本病を患い、現在も定期的に通院して治療しています。毎朝チラーヂンを1.5錠服用しており、今のところ甲状腺の数値は正常範囲になっています。なかなか子どもが出来ませんが、チラーヂンを毎日飲んでいて大丈夫でしょうか。また今後、妊娠した際にチラーヂンの服用は中断すべきでしょうか。そのまま飲み続けても問題ないのでしょうか。薬の副作用も気になります。(30代・女性)
橋本病で甲状腺機能が低下すると不妊の原因に

橋本病は甲状腺の機能に異常をきたす病気で、不妊などの原因になることがあるようです。
橋本病は、慢性的に甲状腺に炎症が起こる自己免疫性疾患の一つです。橋本病によって甲状腺機能が低下すると妊娠しにくくなり、流産・早産・妊娠性高血圧症などのリスクが高まるため、妊娠前から甲状腺機能を正常に保つことが大切です。(看護師)
橋本病は、甲状腺機能のバランスが乱れる病気で、甲状腺機能が向上したり低下したりします。甲状腺機能が低下すると不妊・流産・早産・妊娠性高血圧症・胎盤早期剥離などの発生リスクが高くなります。また、母体を通して送られる甲状腺ホルモンが少ないと胎児の精神発達にも影響するといわれています。そのため、妊娠計画時から甲状腺機能のバランスを整える必要があります。(看護師)
産婦人科で不妊の検査をしていますか?現在甲状腺機能が正常な状態ならば、通常の不妊検査を受けてください。橋本病と関係なく何か原因がみつかるかもしれません。(助産師)
チラーヂンは胎児に影響なし。適切な使用を

チラーヂン自体は胎児に影響がなく、場合によっては妊娠中に増量されることもあるようです。独断で服用を中止せず、医師の指示に従うのが良いとのアドバイスがありました。
甲状腺ホルモンは人間の体内に自然に存在する物質のため、チラーヂンの副作用はほとんどありません。まれに添加物によって過敏症状や肝機能障害などが起こることがあるようです。今まで服用して来られて定期的に検査もされているのであれば、あまり心配なさらなくても良いと思います。(助産師)
甲状腺ホルモンは胎児の発育にも必要なホルモンで、妊娠すると甲状腺ホルモンの必要量は約1.5倍になります。そのため妊娠が分かると服用中の薬を増やすことがあります。(看護師)
チラーヂンは胎児に影響することがないため、妊娠中に継続しても問題はありません。妊娠の可能性があるからといって自己判断で中断してはいけません。補充治療中に妊娠した可能性がある場合には、早めに受診し、妊娠の確認と今後の治療方針について専門医に相談しましょう。また、授乳中も赤ちゃんに悪影響はありません。医師に相談の上、内服の継続が可能です。(看護師)
チラーヂンは橋本病など甲状腺機能低下症の治療薬ですが、妊娠中でも授乳中でも服薬出来るとされている薬です。服用を続けることを心配する必要はないかと思います。妊娠すると母体の甲状腺ホルモンの必要量が増えますので、今までよりも用量が増えるかもしれません。(助産師)
チラーヂンは甲状腺ホルモン剤で、不足している甲状腺ホルモンを補う効果があります。妊娠・授乳中の服用は問題なく、服用を止めた方が母子ともにリスクが高まります。ホルモン剤ですから、医師の指示通りに服薬し、自己判断で中断せず、必ず医師に相談して下さい。(看護師)
甲状腺ホルモンの量が足りないと流早産や胎盤の早期剥離などの確率が上がる等、胎児の脳神経の発達に影響を及ぼすといわれています。必ず主治医の指示に従って服用するようにして下さい。(助産師)

チラーヂン自体に副作用はほとんどないものの、添加物による症状が出ることはごく稀にあるようです。もっとも定期的に検査をしているのであれば心配し過ぎる必要はないとの意見が寄せられました。
監修者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ 社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。

引用元:
橋本病の治療中に妊娠出産は可能?チラーヂンは胎児に影響する?(イクシル)