働きながら不妊治療を受ける女性の離職リスクは、非正規労働者が正社員の3.5倍――。順天堂大などの研究チームが不妊治療中の女性約1700人を対象にアンケートを行い、こんな結果をまとめた。治療と仕事の両立でも、正規・非正規の格差がうかがわれる。

順天堂大の遠藤源樹・准教授(公衆衛生学)は「会社側から契約更新を断られたり、派遣切りに遭ったりすることが非正規の離職の多さにつながっているのではないか。労働者側から会社に遠慮して辞めることも少なくない」と話している。

チームは昨年8〜12月、群馬、東京、福岡3都県の4医療機関に通院する女性にアンケートを実施し、22〜54歳の1727人が回答した。このうち不妊治療開始時に働いていたのは1369人。正社員は597人で、非正規は143人、他の629人は自営業や無回答だった。

正社員のうち治療後も勤務を継続したのは453人(76%)、退職したのは115人(19%)、転職は29人(5%)だった。これに対し、非正規で勤務継続は70人(49%)、退職51人(36%)、転職22人(15%)。年齢や不妊期間なども考慮して調整すると、非正規の人は正社員に比べ離職しやすさが約3.5倍だったという。

治療と仕事の両立について尋ねると、回答した1314人のうち1090人(83%)が「困難と感じた」とし、職場で治療をサポートする配慮があったとしたのは、回答者1266人中、536人(42%)。

不妊治療を受けていることを職場に明かしているとしたのは同1281人中、768人(60%)で、上司や同僚から治療に関するハラスメントを受けたことがあるとしたのは1309人中、110人(8%)だった。

治療による体調不良や通院などのため、予定していなかった日に休む「突発休」を取得したことがあるかについては1185人中、691人(58%)が「ある」とした。〔共同〕

引用元:
非正規、不妊治療で離職リスク正規の3.5倍 民間調査(日本経済新聞)