健康・美容

2019/7/30



 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

緊急避妊薬とは、モーニングアフターピルとも呼ばれていますが、性行為後72時間以内にホルモン剤を服用することで、その性行為による妊娠を回避するものです。コンドームを使用せずに性行為を行った・コンドームが途中でずれたり破れたりしてしまった・合意ではない性行為があった、などの場合に処方されるケースが多く、現時点では主に産婦人科を受診して薬剤を入手します。72時間というタイムリミットがあり、性行為から服用までの時間が短ければ短いほど妊娠阻止率は高くなります。

 緊急避妊薬による妊娠阻止率は100%ではなく、現在緊急避妊用の薬剤として発売されている「ノルレボ錠」を服用した場合の妊娠阻止率(生理周期から妊娠の可能性がある時期に内服した時の妊娠しなかった割合)は約85%です。緊急避妊薬を服用しても妊娠するケース(非妊娠率:生理周期に関係なく内服した時の妊娠しなかった割合)が1〜2%ありますので、緊急避妊はあくまで「緊急時」のみの対処であり、何度も繰り返し行うものではありません。また、服用時点ですでに妊娠している場合は、妊娠を中断する作用はありませんので、あくまで直前の性行為による妊娠を回避するもの、ということを認識しておく必要があります。

 日本では、2011年5月に緊急避妊専用の薬剤である「ノルレボ錠」が発売されました。それまでは、緊急避妊用の薬剤がなかったので、中用量ピルであるプラノバールを「ヤツペ法」という方法で服用することで、緊急避妊薬の代わりにしていたのです。ノルレボ錠が発売されてからは、緊急避妊はこの専用の薬剤で行われるようになっています。また、2019年4月にはノルレボ錠の後発薬品が処方可能となったため、それまで高価だった緊急避妊薬が、少し入手しやすくなりました。ノルレボ錠そのものの価格が高いため、緊急避妊薬の処方を受けるための料金は、先発品だと1万5000円前後、後発品だと8000円前後になります。

 ノルレボ錠の主な副作用は、添付文書上は頭痛・吐き気・倦怠感などがあげられていますが、実際は大きな不調が出ることはほとんどありません。以前使われていたプラノバールでは、約半数のケースで強い吐き気や頭痛が出ていたのですが、ノルレボ錠は副作用が非常に少なく、海外では薬局で自分で購入することができるくらい安全な薬剤として扱われています。

 ノルレボ錠を服用すると、大体1〜3週間後に消退出血と呼ばれる月経様の出血が見られます。この出血があることによって、今回の緊急避妊が成功した、つまり妊娠が回避できたことが確認できます。3週間たっても出血が来ない場合や、ごく少量の出血しか見られなかった場合は、念のため妊娠検査薬で確認した方がベターです。また、緊急避妊は連続して行うことができません。緊急避妊薬を服用してから出血を確認するまでは、性行為を完全に控える必要があります。

 そして、最も重要なことは、緊急避妊をきっかけに今後の避妊方法を見直すということです。継続的に避妊が必要な人は、緊急避妊後に低用量ピルか子宮内避妊具での避妊を検討しましょう。







All Aboutガイド・清水なほみ

NPO法人女性医療ネットワーク理事・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。病院に行きづらいという患者さんの悩みを、現役医師の知識を活かしてサポートしている。



引用元:
知っておきたい、アフターピル(緊急避妊薬)について(ダ・ヴィンチニュース)