乳がんと”遺伝”の気になる関係
今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは、「乳がんと乳腺炎」「男性の乳がん」に関する心配事です。同番組のレギュラー・南雲吉則医師に、その関係性や発症リスクについて教えていただきました!
Q:40代女性です。祖母は乳がんで亡くなり、私自身も子どもを産んだときに乳腺炎(※乳房に起こる炎症。痛みや腫れ、発熱などを引き起こす)と診断されました。年に1度、マンモグラフィ(X線検査)と超音波検査(エコー検査)を交互に受けていますが、将来乳がんになるのでは…と心配です。乳がんは遺伝や乳腺炎とどのような関係があるのでしょうか。
―― 乳腺炎になった人は乳がんになりやすいのでしょうか。
「乳腺炎は、乳がんの発症と関係はないですね。ただ、授乳中は胸が張っているので、触診ではなかなかしこりを見つけにくいです。産婦人科や助産師さんに相談しても、乳腺炎と診断されて放置される場合もあります。『授乳期乳がん』というのですが、これは単に乳腺炎と間違えられやすいということであって、乳腺炎が原因で乳がんになったわけではないということです」
―― やはり乳がんは遺伝するのでしょうか。
「遺伝と関連はありますが、遺伝的な要因で乳がんになる人は全体の5〜10%くらいといわれています。例をいくつか挙げると、『非常に近い親族に2人以上乳がんの人がいる』あるいは『男性乳がんの人がいる』『ご自身が両側(両方の乳房)の乳がんにかかったことがある』『卵巣がんの経験がある』という場合には遺伝の可能性があります。卵巣がんが考慮されるのは、卵巣がんと乳がんは遺伝的に非常に近いから。ただし、遺伝的に乳がんを発症しやすいかどうかは、認定遺伝カウンセラーのいる医療機関で遺伝子検査をしなければ証明することはできません」
―― 残りの9割以上の方は、何が原因で発症するのでしょう。
「実は、生活習慣なんです。がんは心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病と同じで、“生活習慣病” だと考えられます。タバコを吸えばがんのリスクが上がるように、生活習慣ががんをつくっているのです。乳がんの一番のリスクは肥満。肥満を解消するだけで、乳がんの発症リスクは激減します。自分の考えている理想体重より5kg以上多い人は、気をつけたほうがいいでしょう。
昨年の5月に改定された日本乳癌学会の診療ガイドラインでも、肥満と糖尿病で乳がんが増える可能性があると発表されています。飲酒、喫煙、運動不足も同じです。また、夜更かしや朝寝坊は発症リスクを高める可能性があると指摘しています。
一方で乳がんに関係がないとわかったのが、肉や乳製品、大豆(イソフラボン)の摂りすぎによる乳がんの発症。今まで誤解されてきましたが、これらはむしろ乳がんの発症率や死亡率を下げることがわかっています」
―― 相談者の場合、毎年マンモグラフィか超音波検査のどちらかを受けているようですが、マンモグラフィで発見しにくい乳がんもあるというのは本当ですか?
「痩せている女性だとデンスブレスト(高濃度乳房)といって、脂肪のないところがほとんど真っ白になってしまい、マンモグラフィでは映りにくいことがあります。相談者の場合、非常に近い親族に乳がんの方がいるようですから、交互でなく毎年マンモグラフィと超音波検査の両方を行ってもと思いますよ。
検査については35歳以降、年に1回で十分ですが、それだけでは見落とされる可能性があります。私が皆さんによく勧めるのは、お風呂に入ったときにスポンジやナイロンタオルではなく、手のひらでせっけんを泡立てて自分の胸や脇の下、首などをなで洗いすること。そうすることで乳がんや甲状腺がんなど“女性に多いがん”を見つけやすくなります。自己検診をするということですね」
―― 乳がんは、自分で触って発見することができるんですね。
「そうです。自分でできることの一つは自己検診をすること。もう一つは太らないようにすることです。肥満は体に良いことは何もありません。私の場合は糖質制限をしているので、お昼のお弁当などの白いご飯は家に持ち帰り、米麹と一緒にミキサーにかけて甘酒を作っています。そこに乳酸菌を入れると甘酒ヨーグルトもできるのでおすすめですよ。
もし遺伝の可能性やがんに対する恐怖心があるようなら、日頃の食事に気をつけてほしいですね。糖質を制限して、体に良いオメガ3脂肪酸をよく摂り、有酸素運動をすることをおすすめします」
【南雲吉則医師 プロフィール】
医学博士 昭和56年3月、東京慈恵会医科大学卒業
東京女子医科大学形成外科研修、癌研究会附属病院外科勤務、東京慈恵会医科大学第一外科乳腺外来医長を歴任。平成2年 医療法人の認可を受け、「医療法人社団ナグモ会ナグモクリニック」を開設。医療法人社団ナグモ会理事長、ナグモクリニック総院長 平成28年4月 ナグモクリニック福岡院長
著書に「命の食事 最強レシピ」(ワニブックス)、「その健康常識は大間違い! 男のカラダ」(双葉社)など多数。
※この記事は南雲吉則医師の見解に基づいて作成したものです。
〜「主治医が見つかる診療所」より
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テレ東プラス
引用元:
イソフラボンの摂りすぎは本当にNG? 乳がんの原因と肥満の関係性を南雲医師が解説(Yahoo!ニュース)