双子や三つ子などの多胎児を育てる親への理解を深め、支援しようとする動きが静岡県内の民間団体や市町の間で広がっている。沼津市では4月、県東部の多胎児の母親グループが市との意見交換会を開き、育児の現場の状況や行政への要望などを共有。メンバーは「多胎育児の大変さや現実を知って、個に寄り添った支援をしてほしい」と期待する。
 県東部の多胎児の母親グループ「もっちーず」は隔月で定例会を開催。子育ての悩みを共有したり、イベントを開いたりして交流を深めている。同グループによると、多胎妊娠は妊婦の負担が大きいものの専門の資料や相談窓口は少ない。授乳やおむつ交換などの作業が倍以上になるほか、外出先で子どもが同時に泣きだし、周囲から心ない言葉を掛けられることもあり、心身ともにストレスがかかる。
 昨年には、愛知県で三つ子の育児に追い詰められた母親が次男を暴行、死亡させる事件が発生。家族や行政に頼れず、不安やストレスがたまった末の犯行で、母親は実刑判決を受けた。もっちーず代表で、2歳の双子を育てる鈴木歩美さん(30)=沼津市=は「苦労が分かるので同情する部分はある。人ごとではないと感じた」と危惧する。
 市との意見交換会でもっちーずのメンバーは、多胎妊婦向けの子育て教室の実施や検診費用の補助といった出産前のサポート、保育士による家庭での育児支援や通院への付き添い制度などの必要性を訴えた。鈴木さんは「多胎育児の充実に行政の協力が不可欠」と切望する。
 浜松市東区に事務局を置く「しずおか多胎ネット」は一般市民向けの理解促進イベントを定期的に開いている。昨年は多胎妊娠の経過や育児の工夫を紹介する冊子「ふたご手帖」も作製した。
 冊子の編集に参加した高山ゆき子代表(44)は「育児に悩んでも弱音を吐けない雰囲気があるが、切れ目のない支援の構築には思いを発信することが大切」と強調した。

引用元:
多胎育児、独りじゃない 静岡県内母親グループ、悩み共有・発信(静岡新聞)