抗うつ剤の服用は妊活に影響するのでしょうか。今回相談があったのは母体となる女性側ではなく男性からの相談です。現在40代の男性は、抗うつ剤を服用しており、薬が妊活に影響が出ないかと心配しているようです。40代という年齢的にもなるべく早く子どもを授かりたいようですが、看護師さんからはどのような回答が寄せられたでしょうか。



40代男性からの相談:「抗うつ剤を服用中…母体と胎児に影響はない?」


『10年前に妻と結婚をしてから間もなく私はうつ病を患っています。治療に伴い抗うつ薬を初め睡眠導入剤や精神安定剤などを摂取しています。うつ病の症状は徐々に改善されてきているのですが、投薬治療が終了するメドが立っていません。私も妻も高齢で子どもを授かるチャンスを与えられた時間は残りわずかです。その中で心配なのは私の服用している薬に関する母体と子どもに対しての副作用です。子どもは欲しいのですが、薬を止めると私自身の仕事と日常生活に影響を及ぼす為に、現状は薬を飲み続けなければなりません。私が抗うつ薬などを服用していても母体と子どもには影響は無いのでしょうか。(40代・男性)』





男性側が服用した場合、影響は極めて低い

女性が抗うつ剤を服用して妊娠した場合は、さまざまリスクが伴いますが、男性が服用した場合、影響は極めて低いそうです。




『男性の服用している薬が母体や胎児に影響を及ぼす可能性は少ないので、あまり心配しなくてよいと思います。(助産師・保健師)』






『男性側が抗うつ剤を服用し、それが精液中に取り込まれた状態で妊娠し、それによって母体や胎児へ影響を及ぼすという医学的報告は見つけることが出来ません。つまり、男性が服用した抗うつ剤が精液・精子を通して胎児に影響する可能性は極めて低いでしょう。(看護師)』





男性は抗うつ剤の副作用に注意

抗うつ剤によって男性不妊などの副作用が起こる場合があります。しかし、受精後の胎児への影響はまずないと考えて良いそうです。いずれにしても、精神科の主治医にも事情を説明しておきましょう。




『抗うつ剤自体の副作用によって男性不妊症を引き起こす可能性については報告されています。具体的には、抗うつ剤の副作用により性欲低下・勃起障害・射精障害などが起こる可能性があります。もし、現在夫婦生活の中で気になる点がある場合は、一人で悩まず精神科の主治医に相談することをおすすめします。また、現在服用中の抗うつ剤の具体的成分が分からないため副作用と妊娠への影響についてこちらで言及することは出来ませんので、副作用について、あるいは妊娠への影響に関する詳しい説明については主治医・薬剤師に相談すると良いでしょう。(看護師)』






『男性が向精神薬を服用していると、ED・性欲低下などの副作用が起こる場合があり、精子の数や運動力には問題がなくても、損傷したDNAを持つ精子の割合が増えたというアメリカの研究結果があります。しかし、奇形児が産まれる確率が高くなるというわけではなく、全ての精子に異常が起こるわけではありません。向精神薬は簡単に服用を中止することはできませんから、妊娠をご希望でしたら主治医とよく相談してください。(看護師)』






『男性自身の身体への影響はあります。例えば射精障害を引き起こす薬や、精子の奇形、運動低下を起こす薬などがあります。ですが、仮に精子に奇形や運動低下があった場合でも、確率は少し下がるかもしれませんが受精することは可能ですし、その後の胎児に影響がでることはまずないと思ってください。うつ病と薬の服薬はなかなか切り離すことが難しいものだと思います。ご心配されているような影響はほとんどないと考えてよいですが、夫婦で妊娠を希望していることを主治医に相談してみてください。もし妊娠に不利になるような薬を処方されている場合は他の薬に変更してもらえると思います。(助産師・保健師)』





男性側が抗うつ剤を服用した場合、胎児への影響は極めて低いそうです。しかし、男性不妊などの副作用はあるため、注意しましょう。現在の状況について、精神科の主治医にも相談しておくと良いでしょう。



監修者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ 社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。
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引用元:
妊活中の男性が抗うつ剤を服用…母体と胎児への影響はある?(ニコニコニュース)