副反応の訴えをきっかけに、厚生労働省が子宮頸(けい)がん予防ワクチンの積極的な接種呼び掛けを中止してから14日で6年。国が定期接種の位置付けを変えていない一方で、接種と副反応の因果関係の有無に科学的な決着がついておらず、接種率は低迷している。現状に危機感を募らせる静岡県内の医療関係者は多く、対応を模索している。
 ワクチンは2013年、小学6年〜高校1年の女子を対象に定期接種化された。しかし、接種後に全身の痛みやしびれ、不随意運動などの重い症状の訴えがあり、厚労省は「積極的勧奨」を中止。副反応を巡り、国や製薬会社に損害賠償を求める訴訟が起きている。日本産科婦人科学会によると一時8割ほどだった接種率は、1%以下に落ち込んだ。
 こうした中、県内で、対象者に判断の一助にしてもらおうと、適切な情報提供を目指す取り組みが始まった。県小児科医会予防接種協議会は18年末、同ワクチンの接種件数調査を開始。3月には県産婦人科医会などと、同ワクチンや子宮頸がんの現状を共有するシンポジウムを開催した。取り組みの背景について、同協議会の上田憲会長は「対象者に通知されなければ接種できるという認識は生まれず、権利を奪っている」と強調する。対象者へ資料提供などを始めた松野こどもクリニック(富士市)の堀場映子院長は、「赤ちゃんの頃から診ている子が将来子宮頸がんになり、『なぜワクチンがあることを教えてくれなかったのか』と思われたらつらい」と話す。
 痛みを強く感じやすいことなどは思春期に多い特性との指摘もあり、名古屋市の大規模調査では「接種者だけに多い症状はなかった」とされた。複数の研究報告から日本産科婦人科学会は勧奨再開を求める声明を発表。県産婦人科医会の古川雄一会長も「若年のがん罹患者が目立ち、妊娠や出産に影響がある」と危惧している。

引用元:
子宮頸がん予防、静岡県内模索 ワクチン積極勧奨中止6年(静岡新聞)