県内で今年、4月に上伊那郡の40代女性、5月に松本市の20代男性と駒ケ根市の30代女性のはしか感染が確認され、県や県内の医療機関が警戒を強めている。空気感染するなど感染力が非常に強く、肺炎や中耳炎の合併症を引き起こしやすい他、妊婦がかかると流産や死産の恐れがある。県内の患者数は2010年以降、年0〜4人で推移してきたが、全国では今年、過去10年間では既に最多となっている。医師らは、唯一の予防策である2回のワクチン接種を呼び掛けている。

 「該当する施設を利用された方で、麻しん(はしか)を疑う症状が現れた場合は、事前に医療機関に連絡を」。県厚生連南長野医療センター篠ノ井総合病院(長野市)は、玄関にこうした呼び掛けを掲示した。「該当する施設」には、17日に感染が分かった松本市の20代男性が、症状が出る前後以降に訪れた図書館やスーパーなどを挙げた。

 はしかの特徴は高熱や発疹など。感染力が非常に強いが、発症までの潜伏期間が10〜12日ほどあり、県は患者の感染を確認後、患者の訪問先をさかのぼって不特定多数が利用する施設と時間帯を公表。同じ施設を約2時間後までに訪れた人に、空気感染の恐れがあると注意を求めている。

 今年に入って5月5日までの全国の患者数は467人。過去10年で最多だった14年1年間の462人を既に上回る。県内の3人のうち1人はインドネシアに旅行し、2人は関東地方に滞在。全国的に感染者が増える中、不特定多数の人が行き来する場所で感染した可能性があるという。

 はしかは合併症を起こす危険がある他、妊婦がかかると流産などの恐れもある。ほりうちレディースクリニック(松本市)の産婦人科医は「最近はマタニティー旅行がはやり。ただ、人混みや海外旅行は、はしかをはじめ感染症の危険が高まる」と指摘する。

 1回感染するとウイルスに対する免疫ができるが、予防策は2回のワクチン接種しかない。今の定期接種は1歳と小学校入学前の2回だが、29〜47歳前後は1回しかワクチン接種をしておらず、感染経験も少ないため、免疫が不十分な可能性が高いという。

 成人のワクチン接種は原則自己負担だが、国は昨年12月、風疹の対策として39〜56歳の男性を対象に3年間、抗体検査とワクチン接種を原則無料にすると決めた。この接種には通常、風疹とはしかの混合ワクチンを使っている。

 「妊婦と同居する家族には、特にワクチンを2回接種してほしい」。篠ノ井総合病院はそう勧めている。

引用元:
はしか県内警戒強化 4月以降3人の感染確認(信毎web)