横浜国立大学発の産学連携支援組織「YUVEC(ユーベック)」は企業と連携し、出産後の女性の体調や精神面の変化を研究する専門機関「産後総合研究所」を立ち上げる。身体のケアや家事サポートが、職場復帰にどう影響するかなどを研究する。産後の女性ケアの促進にも取り組む。他大学などにも参加を呼びかけ、2020年の設立を目指す。
産後ヘルパーは出産で疲労した下腹部や子宮を回復するマッサージなどをする
画像の拡大
産後ヘルパーは出産で疲労した下腹部や子宮を回復するマッサージなどをする
出産後の女性の生活支援を担う産後ヘルパー(川崎市)や医院と協力して立ち上げる。出産直後に家事サポートや子育て相談などをする「産後ケア」が、母体の回復やうつ防止などにどう影響するかなどを研究する。
子育てへの不安や出産時の産道切開などで体調を崩す女性は多い。授乳による乳腺炎など産後にかかりやすい病気もある。特に近年は「産後うつ」が問題となっている。国立成育医療研究センターの調査では、15〜16年に妊娠中または出産から1年未満に死亡した女性のうち、29%が自殺だった。
産後ケアではヘルパーが自宅を訪れ、おなかや胸などのマッサージをしたり、母乳の出やすい食事を提供したりする。乳腺炎など病気の予防にもつなげる。授乳や子どもの入浴方法の指導、育児相談などもする。
研究所では産後に専門的なケアを受けることで母体が回復しやすくなるかや、乳腺炎の防止率などを研究する。家事代行など身の回りの支援や男性の育児参加による女性の心身の回復効果、出産に伴う各種経済効果なども研究する。
画像の拡大
乳児のケアサービスは国内でも多いが、母親を対象としたものは少ない。産後ケアがより一般的な韓国などで出産をするケースもでている。研究所では研究成果を発信し、国内でケアの認知度を高めていく。現在ヘルパーの利用は1時間当たり3000〜4000円かかるため、企業に福利厚生メニューに加えることも働きかける。
産後ケアのヘルパーの資格検定作りにも取り組む。乳腺炎の予防法や座浴の方法などを習熟してもらう。ヘルパーの社会的価値を高め、同事業に参入する事業者を増やす狙いもある。出産を控えた女性の家族に習得してもらい、家族間でのケア促進につなげる。
神奈川産業振興センター(KIP)などとも連携する。研究所に続き、他の大学に呼びかけて学会の設立も検討していく。
引用元:
横国大発支援組織や産後ヘルパー、産後ケア研究機関(日本経済新聞)