窒息や転落の危険があると言われている、新生児との添い寝。どのようにすれば、安全に添い寝できるのでしょうか。今回は、新生児と添い寝するメリットに加えて、 そのリスクや注意点についてご紹介します!

目次
● 新生児と添い寝するメリット
● 新生児と添い寝することのリスク
「窒息」のリスク
「転落」のリスク
● 新生児との添い寝をするときの注意点
就寝環境編
一緒に寝る人編
その他
● 新生児と添い寝をするコツ
(1)就寝環境を整える
(2)保護者が寝込まない
(3)赤ちゃんが寝たあとはベビーベッドへ
● まとめ

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師 助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は出張専門の助産院”My Midwife”を開業している。
HP:http://ameblo.jp/mymidwife-yoko/
新生児と添い寝するメリット

Getty logo
生後28日未満の赤ちゃんを指す「新生児」。生まれたばかりの赤ちゃんに対しては様々な心配があるかと思いますが、手の届く距離での添い寝は、ママにとっても安心感があることでしょう。添い寝していれば夜間授乳も楽ですし、赤ちゃんとのスキンシップの時間を増やせることもメリットのひとつと言えるでしょう。

新生児と添い寝することのリスク
新生児との添い寝には、以下のリスク(危険性)が存在することにも注意が必要です。消費者庁の発表から確認していきましょう。

■「窒息」のリスク
2010年から2015年までの「0歳児の就寝時の窒息死事故」は、160 件。これは、0歳児における不慮の事故死全体(502 件)の中で、最も割合が高く32%(160件)を占めます[※1]。

■「転落」のリスク
消費者庁の発表によると、2010年12月から2017年6月末までに寄せられた「ベッドから転落した、6歳以下の子どもの転落事故」は1,120件。その中で0歳児の赤ちゃんの転落事故は、721件。全体の64%以上に当たります[※2]。

寝返りやお座り、ハイハイなど、赤ちゃんの発達状態よってリスクは異なるものの、新生児の段階からこれらの危険性を意識する必要があるでしょう。

新生児との添い寝をするときの注意点
新生児との添い寝は絶対にダメというわけではありませんが、リスクを知った上で、細心の注意を払うことが大切です。ここでは、新生児との添い寝をする際の「環境の整え方」「一緒に寝る人の注意点」「その他の注意点」についてチェックします。

■就寝環境編
新生児との添い寝をする際には「寝床が赤ちゃんにとって危険な環境になっていないか」に注意を払ってください。それでは、以下のリストをチェックしてみましょう。

・高いベッドではないか
大人用ベッドなど、高さのあるベッドでは転落時の危険性がさらに増します。転落防止策が十分でない場合は、布団での添い寝の方が安心できるでしょう。

・挟まる可能性のある空間はないか
「ベッドと壁の隙間」「敷き布団の隙間」など、赤ちゃんが挟まる可能性のある空間がないか確認してください。なお「幼児用ベッドガード」も、かえって新生児が挟まる隙間を作り出します。生後18ヶ月未満の乳幼児には、絶対に使用しないようにしましょう。

・柔らかい寝具ではないか
柔らかい毛布、ウォーターベッド、クッションなどには、窒息の危険があります。赤ちゃんの口や鼻を覆われたり、赤ちゃんが沈み込んでしまう危険性があるのです。布団・マットレスも硬いものを選びましょう。

・掛け布団を一緒にしていないか
大人用の掛け布団は赤ちゃんには重く窒息の原因にもなりかねないので、赤ちゃん用の軽い掛け布団を使ってください。
また、赤ちゃんの衣類の着せすぎや掛物のかけすぎによって、赤ちゃんが暖められやすくなります。乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らすために、睡眠中は赤ちゃんを暖めすぎないようにしましょう。赤ちゃんが寝ているときに手足を触ったり、汗をかいていないか確認し、赤ちゃんに合わせて掛物を調整してあげましょう。

・電気毛布などを使用していないか
消費者庁からも「子供は皮膚が薄く、低温やけどが重症化しやすい」との注意喚起が出されています。 また、掛け布団同様、温めすぎはSIDSの発症リスクを上昇させます。

・ソファー(ソファーベッド)や肘掛けイスで寝ていないか

Getty logo
赤ちゃんが隙間に挟まったり、転落する危険性があります。

・赤ちゃんの周りにぬいぐるみなどのものは置いてないか
赤ちゃんが動き回ると、寝床の周囲にあるものが窒息の原因となる恐れが出てきます。ぬいぐるみほか、タオルやよだれかけ、小物などを、赤ちゃんの手の届く距離に置かないようにしてください。

■一緒に寝る人編
新生児と添い寝をする場合には、添い寝をする人の状態も非常に大切です。以下のような状態であれば、 添い寝を避けてください。

・ママや世話をする人が疲れていないか
深く眠り込むほど疲れている場合は、寝返りなどで赤ちゃんを圧迫したり、異変に気づきにくくなる恐れがあります。

・眠気を誘発する薬を内服していないか
一部のアレルギー薬、風邪薬の服用で眠気が誘発される危険性があります。

・アルコールを飲んだ後の大人とベッド共有していないか
飲酒をしたパパや家族と一緒に寝てしまうと、深く眠り込み窒息させてしまう恐れと共に、赤ちゃんの異変に気付きにくくなる危険性があります。

・上の兄弟やペットとのベッド共有をしていないか
窒息や転落など、思わぬ事故の原因となる恐れがあります。

■その他
上記以外にも注意点がありますので、確認してください。

・喫煙者ではないか
厚生労働省は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の大きな危険因子として「たばこ」を挙げています。パパや他の人はもちろんのこと、ママであっても、喫煙者は赤ちゃんと添い寝してはいけません。

・低出生体重児または早産児
赤ちゃんが小さく産まれたり、 早産で産まれた場合には、当分の間の添い寝は安全でないと考えられます。いつから添い寝が可能かについては、かかりつけの小児科医の指示を仰いでください。

新生児と添い寝をするコツ
最後に、新生児と添い寝をするコツを以下で確認しましょう。

■(1)就寝環境を整える
すでにご紹介したポイントを踏まえて、新生児にとって危険のない就寝環境を整えましょう。特に「窒息」と「転落」の危険は、徹底的に排除してください。布団やベッドの周りに物は置かないことも大切ですよ。

■(2)保護者が寝込まない

Getty logo
添い寝で保護者が寝込んでしまうと、無意識の寝返りなどによって、赤ちゃんが転落やケガあるいは窒息する危険性があります。寝込む原因となりえる、薬の服用や飲酒などにも注意が必要です。

■(3)赤ちゃんが寝たあとはベビーベッドへ
窒息事故のリスク軽減を考えると、大人用ベッドではなくベビーベッドに寝かせることが望ましいとされています。別な場所で寝かしつけをした場合でも、赤ちゃんが寝た後は、できればベビーベッドで寝かせると安心でしょう。なお、ベビーベッドは必ず、柵を上げて使用してください。

まとめ
新生児との添い寝は禁止されていませんが、赤ちゃんの安全に充分配慮する必要があります。就寝環境を万全に整えると共に、添い寝する保護者自身も問題のない状態でなければなりません。なお添い寝をする際、赤ちゃんの様子には、常に注意するようにしてくださいね。

引用元:
【助産師解説】新生児と添い寝は危険?正しい方法と13の注意点(マイナビウーマン)