「子どもたちの成長を保護者と一緒に喜び合えた時、よかった、と思う。幸せな仕事に就いたと思っている。でも、今の保育士にはゆとりが本当にない」

 保育士として30年以上勤めてきた県内の民間保育園の50代の園長はそう話す。勤務の複雑なローテーションを組んで早朝・延長保育に対応し、保育士が交代でとる昼休憩も事務をしながら。少しでも保育士の負担を軽くしようと、保育記録簿の記入欄を工夫したり、出欠にタッチパネルを活用したりしているが、人手不足を実感する日々だ。

 今年度の4、5歳児クラスは各28人。それぞれ保育士2人がクラスを担当していたが、4歳児クラスは年度途中に1人が産休をとり、午前中だけパート職員が入る態勢に。「担任1人の時間はチームに分かれて遊ぶことができず、子どもたちの発達に大切な『遊び』が制限されることがある。保育士の負担も増す」

 実は、国が定める4、5歳児クラスの配置基準は「子ども30人に保育士1人」。これを上回る配置や費用負担は各施設のやりくりに任せられており、「現状に合っていない、と現場ではずっと言っていた」。

 県では2002年度から1歳児クラスについて、「子ども6人に1人」という国の保育士配置基準より手厚い「子ども4・5人に1人」という独自基準を設け、基準を満たす保育施設の経費を補助してきた。昨年度は220施設、今年度は212施設が制度を活用しており、この園長も「すごくありがたい」と話す。

 一方で、保育士の確保が難しいのも現状。この園の0歳児の定員は15人だが、今年度は定員分の保育士が確保できず、12人の受け入れにとどまった。

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 鳥取労働局によると、昨年4月の県内の保育士の有効求人倍率は2・27倍(全国平均2・30倍)、10月は3・42倍(同2・98倍)。県によると、県内の保育士登録者は今月現在約9200人だが、実際に保育現場で働くのは4千〜4500人程度とみられる。

 県は16年4月に「県保育士・保育所支援センター」(鳥取市伏野)を開設。県社会福祉協議会に運営を委託し、資格を持ちながら保育現場で働いていない「潜在保育士」のブランクに対応する研修や相談、最低2日間の職場体験などを実施している。「ハローワークで条件が合わなかった人も保育現場に就職できるよう支援している」と、県社協でセンターを担当する中井一途参事は話す。

 3年間の就職実績は約160人。約半数を占める潜在保育士のほか、県外学生のUターン、研修を受けた子育て支援員が含まれる。3年目の今年度は226人が求職登録し、今月21日現在で60人の就職を確認した。中井参事は「潜在保育士の掘り起こし」と「離職しない就職」を課題や目標に挙げる。

 一方で、県社協が17年7月に県内の現職保育士に実施したアンケート(4040人対象、1633人回答)では「退職予備軍」が7割超という結果も出ている。離職を「いつも考える」20・1%、「たまに考える」54・1%で、68・3%が「仕事上の悩み、不安、不満」を理由に挙げた。悩みや不安、不満(複数回答)として最も多かったのが「仕事内容のわりに給与が低い」59・3%。「人手が足りない」32・9%、「子どもの事故への不安(責任の重さ)」26・8%が続いていた。

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 保育士を現場に向かわせるにはどうするか。保育従事者らでつくる「県子ども家庭育み協会」の大橋和久会長=倉吉東こども園園長=は「給与面の処遇がまず一つ。そして、職場の環境改善しかない」と話す。協会は、4、5歳児に対する保育士配置基準を「子ども20人に1人」に手厚くすることや、こうした配置をしている保育施設を支援することなどを求めている。


引用元:
鳥取)保育士の配置を手厚く 人手不足の保育現場 (朝日新聞)