医師の働き方改革を議論する検討会で、厚生労働省は13日、勤務医の残業規制のとりまとめ案を示した。一部の勤務医に特例で年1860時間の残業を認める内容に反対が根強い一方、地域医療体制の維持に長い上限を求める意見もある。厚労省は月内に最終決定する方針だ。

医師の労働時間短縮へ、病院に計画作りの義務づけ検討

 残業の罰則つき上限時間は、勤務医には2024年度から適用される。この上限時間をどうするかが検討会の主題だった。

 この日も、日本病院会の岡留健一郎・副会長は「医療機関には相当厳しい数字」と取りまとめ案の上限に触れ、「24年度までに達成できるか正直自信がない。ロードマップをきちっと決めておくことが必要だ」と念押しした。

 一方、連合の村上陽子・総合労働局長は「一部の医師が過重労働で健康を害し、最悪の場合、命を落とした事例がある。1860時間はなかなか賛同はできない」と、あらためて慎重な立場を示した。

 とりまとめ案は、勤務医を3種類にわけ、標準は一般労働者と同等の年960時間が上限。地域医療を守るためにやむを得ない場合と、技能向上のために集中的に診療が必要な場合は年1860時間とした。地域医療を守る特例は35年度を目標に廃止するが、勤務医という一つの職種に3種類の規制を設ける異例の制度だ。

 17年8月に設置された検討会の前半は、医師の勤務環境をめぐる課題の整理に追われた。労働規制の中で医師は「聖域」のように扱われ、労働時間はまともに管理されてこなかった。長時間費やす夜間・休日の当直や、学習などの研鑽(けんさん)が、どのようなときに労働に当たるかも不透明で、違法残業も少なくなかった。

 厚労省が示した上限時間案には、正反対の理由から異論が相次ぐ。上限が短いと医療体制が維持できず、長いと医師の健康を守れない――。医師の長時間労働に寄りかかってきた日本の医療に、こんなジレンマがあるためだ。

背景に産科医らの不足も

 長い上限時間が必要だとする主張の背景には、医師不足がある。

 日本海に面する福井県敦賀市の市立敦賀病院は今、医師の残業を月197時間・年1600時間までとしている。職場の労働組合と協定で決めた。特別な事情があれば、6カ月は月250時間まで増やせる。


引用元:
勤務医の残業上限どうなる? 地域医療の維持にジレンマ(朝日新聞アピタル)