朝の5時、布団の中でゴソゴソと。これは起きてるな。わかっているんだけど、ごめん、もうちょっと寝かせて。30分ぐらいかな、息子はもう限界、「パパ!」と耳元で、元気な声で。僕にとってはあっという間でも、息子にとっては長い時間だったんだろう。布団から出てリビングに。「まだお外は暗くない?」のパパの言葉に、「見てて、もう少ししたら明るくなってくるから」。その通りです。

 早寝早起き、いいことなんですが。仕事先に「寝たよ」と僕の留守中、息子を見てくれている母親から連絡が入る。「えっ、まだ夕方の6時だよ」。となると翌朝はまた5時だ。このサイクルが今の息子の生活リズム。いいことなんです(笑)。息子の元気さについていかなくちゃ。

 一応、僕はフルマラソンを3回完走していますが、今は完全に運動不足。体を動かそう。でも、一人じゃ続かないから、息子に「一緒に走ろう」って言ったら、あまりその意味がわからなかったと思うけど「うん、パパ、一緒に走ろう」。うれしいじゃないか(涙)。息子とランニング、こんな時がくるなんて。

 「靴を買いに行こうか」。格好から入るのは、パパお得意の準備体操。地面に靴がつくとその振動で光る靴。青の模様に虹色のライトが点滅する。「かっこいいぞ!」。その言葉に4歳の息子は大喜び。2人でさっそうと街へ飛び出す。

 するとどこで覚えたのか、走りながら息子が「今、パパは僕の前を走っています」「今度は、パパが遅れました」。えっ、実況付き。まだ語彙(ごい)は少ないけど、見たものそのままをしゃべる。これってアナウンサー新人時代に練習したことだ。「風がいつもより大きな音で聞こえます、なぜなんでしょう」「影が僕たちの前を走っています」。うんうん、そこにあるものを伝える。実況練習でパパがなかなかできなかったこと。伝えるってこういうことかって妙に納得。親子でフルマラソン。まだ先だけど、そんな日がくるんかな。ゴールしたら泣きます。間違いなく。

 6年前になるのかな、沿道でフルマラソンを走る僕を応援してくれたよね。もしその時がきたら、今度心配するのは、息子なのか、パパなのか、どっちだー。息子の手を握って、今日のランニングは終了。汗ばむ小さな手。「パパ、明日も走ろうね」、うん…、パパはちょっと筋肉痛だけど。(フリーアナウンサー)


引用元:
〈清水健さんの子育て日記〉10・息子よ、どこで覚えたのか「実況中継」(東京すくすく)