花粉シーズン到来――。気象情報会社は、「今年の花粉の飛散量は、各地で前年の数倍になる」との予測を発表した。国民の多くが悩まされている花粉症にどう対応すればいいのか、専門家に聞いた。

花粉の飛散、東京で前年の4倍強、大阪で6倍強の予測

今年の飛散量は数倍! 花粉からどう身を守る?…貼り薬、免疫療法などの選択肢も
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今年は花粉の飛散量が多いと見られている

 気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)によると、2月25日現在、37都府県で花粉の飛散が本格化している。同社は今年の花粉飛散量を、前年と比べ、東京都で4.26倍、愛知県で5.47倍、大阪府で6.67倍、鳥取県で9.25倍など、全国で高くなる、と予測する。

 花粉症は、免疫細胞がスギやヒノキなどの花粉を異物と認識し、排除しようとして起きる。鼻水、くしゃみ、鼻づまりのほか、目のかゆみや充血といった症状が出る。患者は全国で2000万人以上とされている。

貼り薬はゆっくり長く効く

薬の種類が増え、症状に合わせて使用できるようになった

 治療は、薬の使用が中心となる。主にヒスタミンと呼ばれる、鼻水やくしゃみを引き起こす物質の作用を妨げる抗ヒスタミン薬を使う。これまでは飲み薬が主流だったが、昨年貼るタイプが登場した。貼り薬は効き目が表れるのに少し時間がかかるが、終日続くのが特徴だ。

 日本医科大学の大久保公裕教授(耳鼻咽喉科)は「症状が出る時間帯が限られている人には即効性がある飲み薬、症状が長時間続く人には貼り薬が向いている」と説明する。

 目のかゆみや充血に対しては、目薬が適している。また、鼻や目の症状が重い人には、炎症を抑えるステロイド薬が処方され、スプレータイプや目薬があるが、目のステロイド薬には副作用への注意も必要だ。主治医の指示の下、慎重に使用することが求められる。

 症状が表れてすぐに治療を始めれば、症状を軽くできる。薬局でも市販薬を買えるが、医療機関では医師から症状に合った薬を処方してもらえる。
免疫療法は飛散の前に開始を

 体を花粉に慣れさせて、発症そのものを抑えようとする治療法も進歩している。舌の下に薬をふくむ手法で、「 舌下ぜっか 免疫療法」と呼ばれる。約4年前に登場した液状のタイプに加え、昨年は錠剤が発売された。錠剤は、液状タイプのように冷蔵庫で保管する必要がなく、便利だ。

 この治療法により、多くの人で症状がなくなったり、軽くなったりしているが、効果が出るまでに治療開始から3か月はかかる。大久保教授は、「前年の12月には治療を始めていることが望ましい。希望者は今年の秋からの開始を検討してはどうか」と話す。効果を持続させるために治療は3年続ける必要がある。

帰宅時には花粉を振り払う

普段から花粉を浴びないようにする工夫を

 日常生活では、花粉を極力浴びないように注意しよう。気象情報をチェックし、花粉の飛散が多い日の外出はできるだけ避けたい。外出時は帽子、眼鏡、マスクを身に着け、帰宅時は玄関で衣服に付いた花粉を振り払う。家ではこまめに掃除をし、飛散が多い日中は窓を閉めることが望ましいという。(米山粛彦 医療ネットワーク事務局記者)


引用元:
今年の飛散量は数倍! 花粉からどう身を守る?…貼り薬、免疫療法などの選択肢も(読売新聞)