不妊を心配する夫婦は3組に1組

晩婚化や晩産化が進む近年、「妊活」に注目が集まっています。
不妊大国と言われている日本ですが、国立社会保障・人口問題研究所の最新の調査では、3組に1組の夫婦が「なかなか妊娠しない」と心配したことがあるとか。しかも、その数は前回調査よりも増えています。
不妊治療を専門とする産婦人科医 船曳美也子著「あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話」によれば、いまや5.5組に1組の夫婦が不妊の検査・治療に医療機関を訪れているそうです(国立社会保障・人口問題研究所調べ、2015年)。

世界初の体外受精ベビー誕生

今でこそ不妊治療は耳慣れた言葉になりましたが、今から40年ほど前は違ったようです。
前述の船曳美也子先生の著書を参考に紹介すると、イギリスで世界初の体外受精ベビー「ルイーズちゃん」が誕生したのは1978年のことでした。誕生させたのは、産婦人科医パトリック・ステプトーと、生理学者のロバート・ジェフリー・エドワーズで、当時は「試験管ベビー誕生!」とセンセーショナルに報道され、世界中に衝撃を与えました。
しかし「赤ちゃんの健康は大丈夫なのか」、「生命倫理上の問題がある」、「神の領域を侵す行為ではないのか」と識者たちが次々に非難のコメントをし、体外受精という技術は世の中に歓迎されませんでした。それどころか、成功させたパトリック・ステプトーと、ロバート・ジェフリー・エドワーズ博士は、石もて追われるような目にあったそうです。

いまや新生児の19人に1人が体外受精ベビー

日本ではそれから5年後の1983年に、初めての体外受精によるベビーが誕生することになります。以後、累計約48万人もの体外受精ベビーが生まれています(日本産科婦人科学会調べ、2015年)。前述の船曳先生の本によれば、不妊治療の一つである「体外受精(顕微授精を含む)」によって年間約5万人の赤ちゃんが誕生しています(日本産科婦人科学会調べ、2015年)。これは新生児の19人に1人が体外受精ベビーということになります。
ちなみに、世界初の試験管ベビー・ルイーズちゃんは健やかに成長し、今では自然妊娠によって生まれた2人の男の子のお母さんになっているそうです。また、遅まきながらエドワーズ博士には2010年にノーベル生理学医学賞が授与されました。体外受精という技術は、望んでも子どもを持てなかった人たちにとって一筋の光となったのです。
その後、体外受精をはじめ、さまざまな不妊治療法が研究開発されたのはいうまでもありません。

情報に振り回されず、自分のライフプランを考えて

「結婚して、いずれは子供を持つ」は、ひと昔前までは一般的なライフスタイルでした。しかし晩婚化が進み、ストレスにさらされている現代では「産みたいときに産む」が、だんだん難しくなっているようです。「産みたいときに産む」ためには、自分のカラダや妊娠について正しい知識を持ち、ライフプランをきちんと立てることが賢明なのかもしれません。
ご自身も不妊治療の経験を持つ船曳先生は言います。「妊活に注目が集まるとともに間違った情報があふれている状態を、生殖医療専門医としてとても危惧しています。卵子が老化するという重大事さえ、知らない女性もいます。妊活中の人もそうでない人も、自分自身のカラダについて正しく知ることは、人生を自分で選択し、自分らしい人生を生きることにつながると考えます」。

女性という「性」をもって生まれたからには妊娠や出産は、人生プランを考える上でとても重要な事柄です。不妊の時代と言われる今、産む・産まないを含め、一人の女性としてどう生きたいかを、正しい情報の下で考えてほしいと願っています。
<参考文献>

本コラムは『あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話』(船曳 美也子著 講談社刊 2017年)のp116〜119を参考、引用させていただきました。本書には「生理はなぜ起こるのか」「卵子凍結をちゃんと知りたい」など、女性の性やカラダについてのことが、分かりやすく書かれています。

引用元:
不妊カップル増加中!「産みたいときに産む」はもはや贅沢?(イクシル)