妊娠初期の母体と胎児の界面に存在する数万個の単一細胞のRNA塩基配列解読から、生殖を支える細胞種と調節ネットワークの驚くべき複雑性が明らかにされた。

娠の際、母体から見れば胎児は父親のDNAの一部を持つ外来の存在であり、母体が胎児を寛容する仕組みは、妊娠の「免疫学的パラドックス」1として長い間研究者を悩ませている(2013年1月号「胎児を拒絶しない免疫機構」参照)。このほどウェルカム・サンガー研究所およびケンブリッジ大学(英国)のRoser Vento-Tormoらは、胎盤や脱落膜(妊娠に伴って形質転換した子宮内膜)から単離した細胞と対応する母体の血液細胞について単一細胞RNA塩基配列解読(scRNAseq)を行って比較することで、この謎に迫った。この研究により、母体と胎児の界面には独特な多数の細胞種が存在することが突き止められ、免疫学的寛容を支え、胎児の発育を促進すると考えられる有望な相互作用の大規模なネットワークが存在することが推測された。このVento-Tormoらの分子アトラスは、妊娠とその合併症に関する今後の研究に役立つ優れた情報源になる。この結果は、Nature 2018年11月15日号347ページで報告された2。

引用元:
ヒト妊娠初期の全体像(Nature Asia)