運行開始から1年半

 乳幼児連れの保護者や妊婦の外出、通院をサポートする「子育てタクシー」の運行からまもなく1年半を迎える。県内のタクシー会社16社が運行し、2018年11月末までで1270回。単純計算すると一日平均2・6回の運行にとどまるが、「家族が誰もいないときに陣痛が始まったら不安」と出産予定日や産院を登録するケースは多く、「いざという時の安心感」につながるなど目に見えない安心感を生む効果も生んでいる。

 最新の数字となる18年11月の月間運行回数が150回となり、これまで最多だった112回(18年5月)を大幅に上回った。ほぼ毎日利用する人が新たに登録されたことが要因。

 子育てタクシーは原則、所定の講習や保育所などでの実習で子どもの特性や乗降時の留意点などを学んだドライバーが対応する。専門ドライバーはスタート時70人だったが、県主導で研修の機会をつくっていることもあって86人にまで増えた。
運行サービスは8種類 通常料金と同じ

 運行サービスは8種類。県のまとめでは、通園・通学など子どもを送迎し、送迎後は保護者に連絡をする「ひよこコース」の利用が最も多く502回(39・5%)、保育所などの迎えを代行し、保護者の職場まで送り届ける「お迎えサポート」363回(28・6%)と続く。利用料金は通常のタクシー料金と変わらない。

 事前登録をした上で利用する。累計利用者数は開始から徐々に増え、約7・7倍の1376人となった。

利便性評価も、低い認知度などが課題

 「安心感があって便利だが、会社によって対応が違うことも」。佐賀県の旗振りで子育てタクシーが開始して約1年半。利用する保護者からは、利便性の高さを評価する声とともに、サービスの質のばらつきや、低い認知度など課題についての指摘も上がる。

 佐賀市の母親(43)は、仕事の都合で子どもの習い事の送迎が難しくなり、ウェブでサービスを探し、子育てタクシーを見つけた。「見知らぬドライバーに子どもを預ける不安もあった」と当初の思いを振り返りつつ、「ルートを同じにしましょうかと言ってもらったり、丁寧に子どもに接してもらったりしている」と実感する。

ただ、祖父母の助けを得ながら子育てする世帯が多い佐賀では「タクシー利用が、特別な感じで見られる」ことが気がかりという。身内が身近にいる人も、いない人もいる。「いろんな助けを得ながら子育てをする時代、という意識が浸透するためにも、もっと行政は制度に加え、その意義についても周知に力を入れてほしい」と望む。

 週3回、小5の次男が利用している母親(47)は「車から降りて呼び鈴を押しましょうか」などと細やかな配慮がある「独自の対応」に感謝する。次男は内気な性格なため、ドライバーには「話しかけなくていい」と伝え、要望通りに接してもらっている。ただ、同じ「子育てタクシー」を掲げていた会社でも、満足な対応が得られなかった経験もあるという。「別の会社では利用日時の変更がスムーズにいかないことが複数回あった」と語り、均質化を望む。

 各会社への利用登録時には、具体的にどのような対応をしてほしいのかやり取りできる。そのため「走っている道が普段と違うと不安になり混乱する」という発達障害など特性がある子どもの家庭にも広がりつつあるという。

 「してほしいことや苦手なことを具体的に伝えられるのは安心感につながる」。自身も障害がある子どもを育てた経験があり、子育てタクシー制度がない時代に、自分で交渉してタクシーを利用していた佐賀市の自営業者(53)は話す。
知ってもらう工夫必要

 ただ「便利だとは思うけど、初めて聞いた」と語る保護者もまだまだ多い。子育て支援をするNPO法人代表の女性も「必要とされる人に知ってもらう工夫も必要」と指摘した。
【メモ】

 子育てタクシーは1月現在、佐賀県内では東松浦郡玄海町と藤津郡太良町を除く県内18市町を運行区域として16社が運行する。車内には登録時に聞き取った情報を基に、年齢に応じたチャイルドシートも備える。運行サービスは、急な夜間の発熱などに対応する「ふくろうコース」など、全国子育てタクシー協会の一般4コースに加え、松葉づえを使用するなど、自力通学が困難な小中高生の登下校、通院をサポートする「通学通院サポート」など県オリジナルの4コースがある。


引用元:
「子育てタクシー」目に見えない安心感 専門運転手が子ども送迎 利便性評価、周知に期待 サービス均質化など課題も(佐賀新聞)