妊娠から出産、子育て期の親子を切れ目無く支援するフィンランド発の子育て支援制度「ネウボラ」。日本への導入から今年で5年目になった。複数の機関にまたがる子育てサービスや手続きについて1カ所で情報を得ることができ、窓口のたらい回しを防ぐことができる。さらに特色を加えた“ご当地版”ネウボラに進化させる自治体も現れた。(木ノ下めぐみ)
■就学してからも相談
「離乳食は順調に進んでいますね、体重も前回よりぐっと増えていますよ」
大阪府大東市で昨年8月、オープンした子育て世代包括支援センター「ネウボランドだいとう」。生後6カ月の長女、咲羽(さわ)ちゃんと訪れた田中知奈さん(27)に、助産師資格を持つコーディネーター、福嶋彩花さんが声をかけた。
3カ月前に夫の転勤で奈良県から転入、新天地で子育てを始めた直後に咲羽ちゃんが体調不良に。「診療所を紹介してもらっただけでなく、気軽に何でも相談ができた。1つの窓口で何でも相談できるのはいいですね」(田中さん)
ネウボラは、フィンランド語で「助言の場」。妊娠期から子供の就学まで同じ保健師が一貫して親子に寄り添い相談に乗る制度で、虐待件数の減少や出生率上昇にもつながった。
「子育てするなら大都市よりも、大東市。」のスローガンをかかげる大東市も出生率低下に悩み、若い世代の呼び込みが課題。そこで打ち出したのが、「未就学児」対象の自治体が多い中、市教委とも連携し、支援を18歳まで拡大した「大東市版ネウボラ」だ。
保育士や臨床心理士、スクールカウンセラーなどの資格を持つコーディネーター6人ほどがセンターに常駐し、妊娠届の受理を起点に相談に応じる。また保育士資格を持つコーディネーターが生後4カ月までの乳児がいる家庭へ訪問。支援が必要な親子に適したサポートへとつなぐ。
現在、スクールカウンセラーへの相談が全体の約2割を占めるといい、市の担当者は「小学生以上の子供を持つ保護者からの相談が、予想以上に多い」と手応えを感じている。
■来年度末までに全国展開
女性が一生のうちに出産する子供の予測数を表す合計特殊出生率(平成29年)は全国平均1・43。出生率は一時期より上がっているものの、出生数は27、28、29年と過去最少を更新し続けており、「子供を育てやすい環境」実現に向けた行政の施策は、いまや日本全体の課題だ。
縦割り行政のせいで支援の網からこぼれ落ちる親子がでないよう、期待のかかるネウボラ。政府は28年の母子保健法改正で、ネウボラをモデルとした「子育て世代包括支援センター」の設置を市町村の努力義務に定め、来年度末までの全国展開を目指している。
厚生労働省の子ども家庭局によると、センターの開所数は、全国761市区町村の1436カ所(30年4月時点)にのぼっており、担当者は「目標に向けて開所数は増えている。地域によって必要となる支援はさまざま。それぞれの実情に応じて柔軟に特色を出してほしい」としている。
引用元:
北欧流子育て支援「ネウボラ」日本で進化(産経新聞)