40代女性の3〜4人に1人は持っている「子宮筋腫」。筆者も10センチの子宮筋腫があり、これは「赤ちゃんの頭」とほぼ同じサイズになる。子宮筋腫は症状により処置が必要なケースもあるが「下腹が出ている」程度ではなかなか手術に踏み切れない人も多いだろう。子宮筋腫の悩ましさはこの「命に別状はない」という点にある。しかし一方で、月経痛が重くなったり、頻尿で苦労したり、不妊の要因につながることもあるとされる。

 治療には経過観察、薬物、手術が選択肢にあるというが、薬物では「更年期障害と似た症状が出ることがある」「投薬をやめると子宮筋腫が再発する」といったデメリットが挙げられる。そこで今回は、手術に注目。なかでも、「子宮を残す(筋腫だけを取る)」術式について、1)社会復帰の早さ 2)対応医院の多さの観点から、「腹腔鏡手術」と「子宮動脈塞栓術(UAE)」の2つの術式について取材を行う。

 初回の今回は、婦人科内視鏡手術、約8,000件の実績を持つ四谷メディカルキューブ・子安保喜医師に話を伺った。

閉経すると子宮筋腫は小さくなるが、そのスピードは「人それぞれ」

――子宮筋腫は、そもそもなぜ発生するのでしょうか?

子安保喜医師(以下、子安) 残念ながら発生原因はわかっていません。唯一わかっているのは、エストロゲン(女性ホルモンの一種、卵胞ホルモン)が子宮筋腫の成長に関わっているという点です。エストロゲンは性成熟期になると必ず出ますから、子宮筋腫のある高校生もいますよ。逆に言えば更年期に入り、エストロゲンの分泌量が下がってくると子宮筋腫は大きくなりません。そして、閉経すると徐々に小さくなっていきます。

――子宮筋腫があっても「治療をせず閉経し、小さくなるのを待つ」という人は少なくないですよね。

子安 はい。ただ小さくなるスピードは人によって異なるんです。かなり大きい子宮筋腫でも、数年でぐっと小さくなる人もいますが、なかなか小さくならない人もいます。ただ、おばあちゃんになると、もう本当にわからないくらい小さくなりますね。そもそも、子宮本体も小さくなりますから。

――子宮筋腫に「遺伝」は関係あるのでしょうか?

子安 傾向はありますが、そもそも子宮筋腫は女性の3〜4人に1人が持っています。ですから正直数が莫大すぎて、それは家系起因なのか、という点はありますね。

――四谷メディカルキューブで子宮筋腫の手術を受ける方の年代について教えてください。

子安 30代後半〜40代の方が多いです。40代後半以上の方ですと閉経まで手術をせず逃げる、という選択肢もありますが、とても大きい筋腫で、小さくなるには10年20年かかるという場合は手術を検討することもあります。そもそも、子宮筋腫は何個もできていても、大きくても、日常生活に支障がなければ手術をする必要はありません。

そもそも、子宮筋腫は困っていなかったら手術しなくたっていい


――子宮筋腫の悩ましいところはそこですよね。私自身子宮筋腫で悩んでいますが「下腹が出てきてタイトな服を着るとガックリする」「かなり頻尿になった」程度の支障で、命にかかわるものではありません。

子安 がんとは違いますからね。子宮筋腫の手術は生活の質、QOLを高める手術です。おなかが子宮筋腫で膨れ、ダブダブの服しか着れず、でも本人がそれにまったく問題を感じていないのでしたら、そのまま生活していいわけです。当院でも無理に手術は勧めていません。

 ただ、子宮筋腫のために月経が重くなったり、貧血になったり、場合によっては血栓(血の塊)ができてしまい、エコノミークラス症候群のような症状が出て命にかかわるケースもあるんです。そういった場合は、仮に子宮筋腫が小さくても手術を強く勧めています。

 ほか、手術を勧めるのは妊娠を望む場合ですね。ブライダルチェックで筋腫が見つかって手術をされる方もいますよ。ただ、子宮筋腫が不妊原因になっているかどうかの判断はとても難しいんです。ボコボコに子宮筋腫ができているけれど、全然普通にお産をしていく女性もいる一方で、とても小さい子宮筋腫が1つしかない不妊の方で、これが原因かどうかわからないけれど、試しに取ってみたらすぐ妊娠したというケースもあるんです。

子宮筋腫は、多発する人ほど再発しやすい?

――四谷メディカルキューブのホームページで掲載されている、1人の患者さんから手術で取ったという202個もの子宮筋腫の画像は、スーパーボールのような筋腫がずらりと並んでいて衝撃的でした。子宮筋腫は「大きいのが1つ」できるのか、それとも「小さいツブツブがたくさん」できるのかも、人によるのでしょうか?

子安 はい。今までの患者さんで一番多かったのは、お一人で508個です。ただ、残念ながらその方はすぐ再発してしまいました。子宮筋腫が多発される方ほど、再発しやすいんです。

――自分の子宮筋腫の数によって、再発しやすいかの傾向がわかるんですね。

子安 はい。ただ、若い方だと大きい子宮筋腫一つでも、再発してしまうケースもありますね。また、再発のスピードも人それぞれなんです。あっという間に、1〜2年で再発してしまう人もいます。ですので、再発しやすいと思われる方は、それを事前にお伝えした上で手術を行っています。

――最初は子宮筋腫だけを取る核出手術をしたけれど、再発したから次はもう子宮全体を摘出する、というケースもありますか?

子安 あります。当院ではできるだけ患者さんのご希望に添いますが、子宮筋腫だけを取る核出手術は、上限を3回までと定めています。この回数は病院の方針によって変わってくるところですね。

――今まで子安先生が取り出した中で一番大きい子宮筋腫はどのくらいの重さでしたか?

子安 7.5キロです。おなかの中いっぱいでしたね 。ただ3〜4キロの物はよく手術でとりますよ。


引用元:
体内に「508個」「7.5キロ」の筋腫が!? 3人に1人「子宮筋腫」の実際を医師に聞く(cyzo woman)