フランス人は「里帰り出産」をやらない
フランス人は「妊娠9ヵ月」で赤ちゃんを産む?
私がフランスで妊娠したときに1番驚いたことは、フランス人は9ヵ月で赤ちゃんを産むと聞いた瞬間でした。
「日本人の妊娠期間は10月10日。1ヵ月も早く赤ちゃんを産むなんて、同じ人間なのにフランス人はすごい!」と妙に感心した記憶があります。
実際には日本人もフランス人も妊娠期間は同じですが、1ヵ月の日にちの数え方と、スタート時点が違ったことが大きな勘違いの原因でした。日本では月経の最終日を初日として4週間を1ヶ月と数えるのに対して、フランスでは受精日を初日としてカレンダー通りに1ヵ月を数えていきます。
数え始める日の違い、そして1ヵ月の日数が28日なのか、30、31日間なのかの違いで1ヵ月もの誤差が生じてしまうわけです。在日フランス人の友人も日本で妊娠をしたとき、日本人の妊娠は10月10日だと聞いて、「なんて長い間妊娠しているのかしら」と驚いたそうです。
それはさておいて、じつは日本とフランスでは出産や子育てについて大きな違いがたくさんあります。そこからは、日本人とフランス人の出産観、子育て観の違いが浮き上がってくるのです。日本ではあまり知られていないそんなフランス人の出産と子育てについて紹介したいと思います。
フランス人の出産は「お腹を痛めなくてよい」
無痛分娩が一般的なフランスでは、約8割の人が無痛分娩を選びます。出産が近づいてきたら、あらかじめ担当医と相談して出産日を決めます。日本のように陣痛が来るまで待つことはしません。
出産日を向かえたら朝早くクリニックへ到着。簡単な検査をしたあとに陣痛促進剤が投与され、しばらくは、ベッドの上でリラックスして過ごします。何時間か過ぎて我慢できないくらい痛くなってきたら、やっと麻酔がスタートして、出産を待つという流れとなります。最初は自然分娩で生むと決めていた人でも、途中から無痛分娩に変更する人も大勢います。
ベッドに横たわっている間は、陣痛の強さと間隔がモニターに映し出されています。モニターを横目で眺めつつ、陣痛が5分間隔になるのを「まだかしら」と、ひたすら待ち続けます。この間、食事や水分を取ることはできません。人にもよりますが、10時間前後かかるようです。
退院から1週間くらい、助産師さんが見に来てくれる
現在、出産時の入院期間はわずか2日。私が出産した当時は4日でしたが、子どもが黄疸(おうだん)にかかってしまい、1週間ほど入院していた経緯があります。特に黄疸の治療を行うわけではなく、ひたすら窓のそばに寝かして、紫外線を浴びさせるという方法です。
トラブルがない場合は2日経つと退院となります。退院から1週間くらいは、助産師が赤ちゃんと母親の様子を見に来てくれるので安心です。
入院中には、プロのカメラマン(女性も多い)が病室を回って赤ちゃんの写真を撮ってくれます。後日、カメラマンが自宅までやってきて、注文を受ける仕組みです。
さすがはプロ、きれいに撮れていますが、1万円程度でしょうか値段は高かったという記憶があります。
フランス人が「里帰り出産」をやらない理由
日本では、里帰り出産をすることが一般的な習慣として広く行われています。しかし、フランスには里帰り出産という考え方はありません。夫婦が家庭の基本的な単位であるため、別々の場所で生活することは理解することができないわけです。
里帰り出産のメリットは、実の両親が慣れない育児や家事をサポートしてくれること。新米ママは身体を休めながら育児に専念することができるでしょう。
一方、デメリットもあります。妊娠後期や出産前後の1番大変な時期を夫と共有できないことが挙げられるでしょう。
歩くこと自体苦しくなる時期。そんな苦労や出産直後の育児を協力し合って乗り切る経験ができません。子育ては夫婦そろって二人三脚。里帰り出産の場合、出産数ヵ月後に、母親が赤ちゃんを連れて帰ってきても、夫自身が「どのように接したらよいのかがわからない」という声を聞くこともあります。
里帰り出産をするか、しないかのどちらがよいかは一概にいえませんが、最初から夫と一緒に育児を行った方が後々の育児や家事に積極的に参加しようという意欲が増すということもあるそうです。
とはいっても、日本とフランスでは環境が違いすぎます。フランスには出産前の準備クラスがあり、夫婦で参加して親になることを学びます。
出産後は、「男性の産休」が2週間あり、この期間は有給休暇です。
さらに、フランスの労働時間は週35時間で、残業がないため、夫は早く家に帰って育児や家事を行う余裕があります。日本も見習っていただきたいものですね。
フランスの赤ちゃんは規則的?
入院中から赤ちゃんのスケジュールはきっちり決められています。ミルクの時間は、10時、2時、6時の4時間おき。1日は24時間なので、昼間でも夜でものこ時間はずれることなく、必ず10時、2時、6時のタイミングで進めていきます。
夜中に起きるのはつらいものですが、このタイミングであれば夜中の授乳は2時の1回だけになります。日本のように3時間おきとか、泣いたらあげるということは行いません。生まれて1週間経たないうちに、4時間おきのミルクが習慣になることがほとんどです。
朝10時のミルクが終わって、しばらくするとお風呂です。沐浴(りんよく)は、キッチンの流し台などでベビーバスを使っておこないます。赤ちゃんがベビーバスからはみ出るようになると、普通のバスタブを使うようになりますが、基本的には1人で入浴させます。
フランスのお風呂は個人ごと。普段はシャワーしか浴びません。お湯をバスタブに張る場合でも、一人ひとり流してしまいます。なぜなら、ホテルのバスルームのようにお風呂場に洗い場がないからです。バスタブの中で体を洗うので、家族みんなが同じお湯に入るのは難しいですし、そもそも誰かと一緒にお風呂に入る習慣もないのです。
日本のように母親が自分の体を洗いつつ、赤ちゃんを洗って、湯船に浮き輪を使って浮かべる、他の兄弟の体を洗うなど、入浴時はパニック状態。お風呂から上がっても赤ちゃんが最優先。自分はバスタオル一枚で奮闘した経験のある方も多いのではないでしょうか。
お風呂好きの私たちにとって、赤ちゃんと一緒にお風呂に入るのはうれしいものです。でも、フランス人はお風呂に入るのを楽しいとか、気もちよいとか思っていないのですね。歯を磨くのと同じ感覚です。きれいにするために体を洗うのであって、シャワーだけでも構わないのです。
1人で寝かされるフランスの赤ちゃん
家族で「川の字」で寝るイメージの私たちには、目に届くところに赤ちゃんがいないと不安に思うかもしれませんが、フランスでは赤ちゃんは産まれたときから、両親とは別の部屋に一人で寝かす習慣があります。
しかし、子ども部屋を用意できる広い家に住んでいる夫婦ばかりではありません。我が家は40uくらいのワンルームだったので、夫婦のベッドの横にベビーベッドを置いていました。子どもが寝ているときに煌々と電気がついていても、友人を呼んで食事をしているときでも、子どもはスヤスヤ。4時間ごとのミルクタイムには影響はありません。
1人で寝かせることに不安を抱く人も多いでしょう。よほどの豪邸でない限り赤ちゃんが泣くと声が聞こえるものです。不安に思う場合は、ウォーキートーキーを備えつけると安心ですね。
フランス流子育てでは、赤ちゃんは夜泣きをすることは滅多にありません。仮に夜泣きをした場合であっても、すぐに抱き上げることはしません。何となく泣いているのか具合が悪くて泣いているのかは、親には分かるものです。ちょっと待って、観察して何でもなければ放っておきます。赤ちゃん側も泣いても構ってくれないことを悟り、結局は夜泣きをしなくなるわけです。
統計があるわけではありませんが、赤ちゃんが夜通し寝てくれる時期はフランス流の方が早い気がします。参考までに私の子どもは生後2ヵ月くらいからに、朝まで起きなくなりました。
日本の場合、赤ちゃんに過剰反応してしまう面があるかもしれません。赤ちゃん側にも、泣くと何とかなるというように潜在意識にインプットされてしまうようです。フランス流子育ては、時間などの規則を守って、それ以外は放任的な面もあります。よいところは是非、参考にしてみてはいかがでしょうか。
引用元:
フランス人の「出産&子育て」が、日本とここまで違うワケ(現代ビジネス)