今回は伝染性紅斑についてお話しします。この病気は、両頰(ほほ)に出現する発疹(=紅斑)を特徴とし、通称「りんご病」と呼ばれます。冬の終わりから春にかけて流行することが多いのですが、年間を通して発生します。

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 両頰にできる発疹は、平手打ちされた頰のような強い赤色調です。頰に発疹ができるのと同時か、それよりもやや遅れて腕に発疹が出現し、体、脚へと左右両方にかゆみを伴う、網目あるいはレース状の発疹が広がります。

 ふつう発疹は7〜10日前後で消えることが多いのですが、数週間から数カ月にわたり出たり消えたりし、気温の上昇や日光に当たることなどによって、一度消えた発疹が再び現れることもあります。

 中高校生や成人では、手足の関節痛を訴えることや、紅斑が現れずに関節痛のみのこともあります。まれに、手袋と靴下を身につけているようなくっきりと出現する紅斑に、発熱やむくみ、口内炎を伴うことがありますが、数週間以内に落ち着きます。

 伝染性紅斑は一度かかると終生免疫(=生涯その感染症にかからないこと)が得られるので、健常者は再感染しないとされています。

 伝染性紅斑の病原体はヒトパルボウイルスB19(PVB19)と呼ばれ、集団生活を送る園児から小学生に感染しやすいウイルスです。伝染性紅斑は、感染した人のせきを吸い込んだり、感染した人と同じ食器や道具を使ったりすることで、ウイルスを自分の口や鼻の粘膜に運んでしまい、感染します。

 PVB19に感染すると、7〜10日後に血液や唾液(だえき)の中でウイルス量が増加します。その後抗体が作られ、ウイルスは次第に減少していきます。

 発疹は14〜18日後になってから出現するため、感染力が最も強いのは発疹の出現時ではなく、その約1週間前の時期です。その時期はほとんど無症状か、軽いかぜ症状しか出ませんので、予防は難しいのですが、手によってウイルスを運んでしまう場合もあるので、よく手を洗うことは伝染性紅斑の流行期には有効と思われます。

 また、発疹が出たときには感染性は低いことから、保育施設や学校への通園・通学は可能です。

 発疹自体は皮膚にかゆみを生じることはあるものの、健常な子どもでは症状が軽いので、通常薬を使用することはありませんが、かゆみが強いときに抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めを処方する場合があります。

 また、PVB19は伝染性紅斑以外にもさまざまな疾患に関係しています。赤血球が破壊される溶血性貧血の患者さんや免疫が低下している人がPVB19に感染すると、無形成発作という一過性の重症貧血や、長期的に感染していることによって赤血球が造られない赤芽球癆(せきがきゅうろう)という病気になったりします。

 妊婦さんがPVB19に感染した場合には、ウイルスが胎内に移行し胎児に重篤な貧血が生じ、胎児水腫(赤ちゃんの全身に水がたまり、むくんだ状態になる病気)、子宮内胎児発育遅延(おなかの中で赤ちゃんの発育が遅れ、標準より小さいこと)、胎児死亡となる可能性があります。

 そのため、伝染性紅斑の患者さんと接触や、ウイルスに感染したと思われる妊婦さんは抗体検査および産科医による密な経過観察が必要です。

 ただし、胎児水腫の発生は高率ではなく、奇形を生じさせることはほとんどないため、中絶は勧められません。PVB19による無形成発作の患者さんは特に感染力が強いため、妊娠中の医療従事者は接触しないように勧められています。



引用元:
両ほほ赤くなる「りんご病」難しい予防 妊婦感染に注意(アピタル)